青薔薇を手折る(仮)「平等に訪ねるべきですよ。皆、旦那様を待っているのですから」
久しぶりに閨へ訪れた鶴見の髪を撫で付けながら、自分でも随分無粋でお節介なことを言っているなと月島は思った。
「うーん? お前が嫉妬とは珍しいな」
「違いますよ」
それでも月島の膝の上で撫でられるままになっている鶴見の、はぐらかす戯れ事を許す気はなかった。
「新しく第一夫人として迎えたΩが居るでしょう。かわいそうに、半年経っても貴方がいらっしゃらないから、庭で泣いていましたよ」
艶々したチョコレイト色の肌につうーっと透明な雫が流れる様を月島は見てしまった。美しい人はは泣き顔も様になる。その後クシャッと心底悔しそうな顔をしてけたたましい叫び声をあげていたが、それは特に伝えてなくともいいだろう。
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