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    タコイ

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    タコイ

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    オメガバの鶴月鯉、お屋敷パロの導入書きかけです。2023年の2月に書いたまま放置してました。素敵な小説を拝見して再熱したので置いておきます。

    #鶴月鯉

    青薔薇を手折る(仮)「平等に訪ねるべきですよ。皆、旦那様を待っているのですから」
     久しぶりに閨へ訪れた鶴見の髪を撫で付けながら、自分でも随分無粋でお節介なことを言っているなと月島は思った。
    「うーん? お前が嫉妬とは珍しいな」
    「違いますよ」
     それでも月島の膝の上で撫でられるままになっている鶴見の、はぐらかす戯れ事を許す気はなかった。
    「新しく第一夫人として迎えたΩが居るでしょう。かわいそうに、半年経っても貴方がいらっしゃらないから、庭で泣いていましたよ」
     艶々したチョコレイト色の肌につうーっと透明な雫が流れる様を月島は見てしまった。美しい人はは泣き顔も様になる。その後クシャッと心底悔しそうな顔をしてけたたましい叫び声をあげていたが、それは特に伝えてなくともいいだろう。
    「あれは上との付き合いで迎えたΩだしなぁ……」
     この館の当主であるαの鶴見にはまだ子がいなかった。少なくともΩの月島が第一夫人としてこの家に嫁いでから何年も過ぎ、また何人かのΩが新しく嫁いできても、月島を含めて誰も身籠ったことすらない。
     何時の間にか月島は30も半ばを迎えようとしており、閨の順番を他の若いΩに譲ることが増えた。そしてこの度は第一夫人の座すら若いΩに譲ったのである。自分の代わりに主人の子を成してもらえれば、そんな淡い期待もあった。
    「そもそもだ」
     鶴見はそんな月島の幽かな期待も見透しているような鋭い瞳で、口許だけは皮肉に笑った。
    「どうやら私には繁殖力がないのに」
    「……」
     館の誰もが思いつき、誰もが見ないフリをしていることを、当の本人がさらっと口にだしてしまい、月島は押し黙った。綺麗な髭の下の唇がわずかに歪む。
    「私を種無しのαと認めなくない老人どもが無理矢理組んだ縁談だ。若いΩなら孕むはず、とな。彼には申し訳ないが私と別れてもらいたい。だからせめて清い体で返してあげたくてね」
    「……それでも、彼は貴方をお慕いしているんですよ」
     現在の第一夫人である鯉登は本当に形だけの第一夫人だ。他のΩからは疎まれ、(これは本人に愛想がないせいでもあるが)執事やメイド達にも遠巻きにされている。
     第二夫人になったものの実質的に館の第一夫人のような立場にいる月島は、度々鯉登の面倒をみていた。年若いΩの世話をするのが年嵩の自分の役目であるような気がしたからだ。
     こんなに彼に肩入れしてしまうのは何時かの自分を重ねているからだとは気付いている。
    「ふむ、お前だから言うんだがなぁ」
    「はぁ……」
    「本当はあれは養子として欲しかったんだ」
     気の抜けた鶴見の声に似合わない過激な思想が月島のこめかみを撃ち抜いた。
    「ハァ?」
    「Ωの養子は残念ながら認められなかった」
    「そりゃそうでしょう!」
     月島をからかっているのだろうか。αの跡継ぎはαでなければならない。なんのためにαを産めるΩと一夫多妻制を敷いているのだと思っているのか。
     Ωの月島にはαの、それも革新的なαである鶴見の考えは到底理解できない。妻ではなく養子として迎えたかったといった。それだけ特別目を掛けているということで、月島の胸がチリリと小さく焼けたが、見なかったことにして頭を振る。
    「とにかく、自分の子供を貴方の養子にしたい人間は沢山いますが、もう嫁に来てしまったあの人は独りなんですよ!」
     珍しく語気を強めた月島に、鶴見はふふふ、と笑む。
    「お前がそこまで言うならここに呼ぼうか」
    「ハァ?」
    「二人で可愛がってやろう。うん、それがいい」
    「ハァ!?」
     突拍子もない提案に月島は青筋を立て、にっこりと笑む鶴見を睨んだ。
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