【二次創作】星とホタルを見る話(春クリ)夜空を見上げると、天の川が広がっている。都会でもこんなにきれいに見えるのかと、春は少し驚いた。
「ついてきてくれて、ありがとうございます。天体観測をやってみたかったんです」
星座早見表を手に、クリスは嬉しそうに微笑んだ。
「よかったです。喜んでもらえて」
春は、クリスの隣で、一緒に星座表を覗く。そして、「あ」と声をあげた。
「どうしたの?」
「見て下さい、あれ」
春は空を指差す。一番目立つ赤い星、アルデバランだ。
「大きな星ですね」
「アルデバランっていうんですよ。七夕の彦星に例えられるんです」
「そういえば、前にプラネタリウムで習いました。……でも、あんな星あったでしょうか?」
「あの星、二重星なんですよ」
二重星は、恒星が二個以上重なっている天体のことである。口径を計算してみると、アルデバランは約六百万光年の距離にあることが分かった。
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