童貞協定の裏側 ✝️⚔️「僕は男だから、やっぱり触れるのは嫌か?」
韮瀬は少し不安そうな表情で湊の顔を覗き込んだ。
すると、顔を青くした湊が「そんなことある訳が」と首を横に振り言葉を漏らした。
そして、彼を不安にさせてしまった、と己を強く叱責した。
そんな姿を目にし「お前の本心を聞かせて欲しい」と、震える手に自身の手を重ねる。
その優しさに絆されるよう、ぽつりぽつりと自身の思いを言葉にすると、その言葉を聞き漏らさぬよう真剣な眼差しで湊を見つめた。
「貴方を好きな気持ちは紛うことなき真実です。ただ俺は、貴方に触れるのが怖い。貴方を傷付けないか、不安なんです。私は過去に過ちを犯しました。私の勝手な思いで沢山の人を傷付けました。そんな醜い自分が居るのを知っているんです。京平、貴方がとても大切です。貴方のことが好きなんです。それなのに、もしも大切にできない自分がいたら……、俺はもう……」
991