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    ななめ

    創作BL(@naname_336)と
    二次創作(@naname_line)。

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    ななめ

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    言紡弐で展示していたお話です。800字小説……といいつつ、ちょっとオーバーしてました。800字に納めるの難しい!カプなし・ほのぼのです。

    #文アル
    "asWritten"Album
    ##文アル

    やさしい羽【中里と新美】「中里さん、図鑑を見せてください」と南吉が言った。私は快く承諾して、南吉を部屋へ招き入れた。
    「どの図鑑が見たいのかね」
    「あのね、鳥さんがのってる本が見たいの。鳥の羽根を拾ったから、どの鳥か知りたいんです」
     なるほどよく見れば南吉の手には小さな羽根が一枚握られている。三寸ほどの茶色い羽根だ。私は彼を椅子に座るよう促して、図鑑を取りに本棚へ向かった。背中越しに南吉に尋ねる。
    「その羽根は拾ってきたばかりなのかね」
    「ううん。さっき鴎外さんとすれ違ったら、鴎外さんが羽根を拾ったのならちゃんと洗いなさいって」
    「ほう、それで」
     私は目当ての本を持って南吉のそばへ行った。椅子を引き寄せて隣に座り、机の上に図鑑を広げる。南吉は羽根を私にも見える場所に置き、図鑑を覗き込みながら話を続けた。
    「どうやって洗うのって聞いたら、鴎外さんがお部屋に連れて行ってくれて、羽根をお水と洗剤できれいに洗ってくれたの!それにぼくの手も洗わなきゃだめだって言うから、ちゃーんと洗ってきたよ」
     南吉は図鑑から顔を上げて、私に向かって得意げに手を広げて見せた。
    「それは偉かった」
     私の言葉に南吉は満足そうに笑って、また図鑑のページをめくる。なにか心当たりがあるわけではないようだ。私も羽根と図鑑の鳥を見比べてはみるものの、とんと見当がつかなかった。羽根は茶色一色で根元は少し白い。目印になりそうな模様はない。形からして尾羽ではなさそうだ。
     ふと気づくと南吉が私の顔を見ていた。
    「どうした?」
     すると南吉はふふ、と両手で口を押さえ「なんでもないです」と言って再び図鑑に目を落とす。その横顔には喜びがあふれていた。
     そうか、この羽根は口実だったのだな。皆と触れ合うための。
     きっとこのあと南吉は、みんなに羽根を見せに行くのだろう。賢治や心平が集める石とは少し性質が違うのだ。だが同じように宝物だ。
    「なんの鳥かは分からないが、いい羽根だ」
     私がそう言うと、南吉は嬉しそうにうなずいてページをめくった。
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