知らぬ人 久々知兵助、とある城の忍者になって早二年。様々な経験を積ませてもらい、今では一人で忍務をこなせるようになった。
だが、暗殺の忍務だけは未だに遂行できずにいた。いざ標的を目の当たりにすると寸鉄を持つ手が震え、呼吸も乱れ、何も出来ず撤退することがほとんどだ。今回も先輩に「ここは俺が何とかするから先に帰れ」と言われ帰路の半ばに立っている。
「はぁ……」
また先輩に迷惑をかけてしまった。
…俺、もしかして忍者に向いていないのかも。と悩んでいたその瞬間、
「…わっ!」
「うわっ!?えっ!?」
突然後ろから大声を出され咄嗟に距離を取る。
「あはは!さすがにびっくりしすぎだろ〜!久しぶりだな、兵助!」
「か、勘右衛門!?」
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