硝子細工の宝物「やぁ先生、今日も変わらず綺麗だね。そんな先生が俺は好きだよ」
「…開口一番がそれなのか?」
瑠璃亭に入って席に着くなり、笑顔で愛の言葉を告げるタルタリヤ。真っ直ぐ鍾離の方を見てニコニコと笑顔を振りまくその姿に鍾離は眉をひそめて溜息ついた。
「そもそも、綺麗などと…そういった言葉は俺に言うよりもっと相応しい相手に言ったほうがいい」
「えぇー?先生以上に綺麗な人なんていないよ。それに、俺にとっては先生が相応しい相手だ。いい加減、付き合ってくれないかな?」
「……断る」
「そっか、残念。じゃあまた後日口説く事にするよ」
テーブルに片肘をついて笑顔を崩さずめげない姿に思わず頭痛がしてくる。
ここ最近、タルタリヤはずっとこの調子だった。最低限、配慮はしているのか公衆の面前で言われることはないが、二人っきりになるとずっと鍾離を口説いて来る。鍾離に告白を受けるつもりはなく、言われる度に断っているのだが…何度断ってもタルタリヤに諦める様子は見られなかった。
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