大事なもの「やだ!やぶらないで、おかぁさん…っ!」
大事にしてた家族写真。血の繋がった父と母と自分と小さな妹。離婚した両親を受け入れられない僕が唯一縋れるものだった。でも母はそれを破り捨てた。そりゃそうだ、もう思い出したくない顔を大事にされたらいい気はしないだろうから。
でもこの頃の僕には到底理解できなかった。確かに両親は仲が悪かった。でも、僕にとっては唯一の肉親で、代わりなんて居なくて。
「なんで…おかあさん…っ」
僕は泣きじゃくることしか出来なかった。すると沙都子も泣いてしまって。母は怒っていた。なんで怒ったかは覚えてないけど、少なからず僕はその時泣くことは悪なのだと思った。
夢から醒めて病室特有の天井が見えた時、息ができなくなった。喉から変な音がする。頭がクラクラする。
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