きらきらひとつ お空にひとつ 火の粉の爆ぜる音がする。
「ああ……ああ………」
我が母なる聖天樹が燃えてゆく。
「リボルバー様…リボルバー様……!」
プレイメイカーが遠ざかってゆく。
「リボルバー様…申し訳ありませんリボルバー様……!」
絶対に、通すわけにはいかなかったのに。
ふらふらと、もう姿の見えなくなったプレイメイカーをそれでも追おうと歩き出したスペクターの眼前に、一際大きな炎が上がった。
「あ………」
業火に包まれ裂ける幹。灼熱の風に煽られ踊る葉。
自らを優しく包んでくれた大樹の面影は、もうそこにはなかった。
「お母…さ……」
スペクターは思わず手を伸ばした。
消えゆく母に。
届かない、最愛の主に。
ふ、とスペクターは目を開いた。目を灼く忌々しい光も肌を舐める不快な熱も感じない。どうやら自分は現実世界に戻ってきたらしい。
5438