天使をつかまえて 撮影の打ち上げから帰ってきた那月にぎゅーぎゅー抱きしめられて、それからソファーに座った那月の膝の上に座らされている、俺。腹あたりを両腕でしっかりホールドされて身動きが取れないわけで。俺の背中に額を押し付けてきて、那月の髪(たぶんアホ毛)が首に触れた。
「那月くすぐってぇ」
「うーん……翔ちゃん大好きです」
「ダメだ、会話にならん」
酒に強いこいつが酔って帰って来るなんて珍しい。短期集中での撮影だったらしく、毎日家に帰ってきてはいても早朝に出て夜中に帰宅コースが続いていて。疲労困憊の体に酒を入れたらさすがに酔っちまったんだろうと思う。
ひとつ屋根の下に住んでいても顔を合わせるのは久々だから、俺は俺で不足していた分の那月を充電する。
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