Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    Saihate7_15_31

    ☆quiet follow Yell with Emoji ❤ 💚 🍷 🐕
    POIPOI 203

    Saihate7_15_31

    ☆quiet follow

    ノラアシュ短編まとめ①
    140字小説中心のまとめ、ショタアシュだったりED後だったり色々短文。

    ノラアシュ短編まとめ①振り返ることもないだろうから

    「⋯⋯話を、したいんです。ノーランド様と、ちゃんと」

    アッシュの声は静かに響いた。
    夜明け前の薄明かりの中、寝台の端に座る彼の肩は、かすかに震えていた。

    だが、返ってきたのは沈黙だった。

    ノーランドは背を向けたまま、シャツの袖を通している。無言のまま、いつものように、冷ややかにその場を離れようとしていた。

    「⋯⋯聞いてくれないんですね」

    アッシュが絞るように呟いた。

    「どうして、振り返ってくれないんですか。俺のことなんて、どうでもいいんですか」

    ノーランドの背は止まった。だが振り返りはしない。
    ただ、わずかに首を傾けただけだった。

    「どうでもよければ、抱いたりはしない」

    それはひどく冷たい声で、そして、どこか残酷な優しさを帯びていた。

    「あなたは、俺が求めた時じゃなくて、自分が欲しくなった時だけ、振り返るんですね」

    アッシュの目に、痛みが滲む。唇を噛んで、視線を落とした。

    「抱かれている時だけ、あなたがこちらを向いてくれるから、⋯⋯だから、俺、何度もそれを許してしまった。
    けど⋯⋯もう、限界なんです」

    布団を掴むアッシュの指先が、ぎゅっと白くなる。

    「言葉がほしいんです、ノーランド様。
    触れるだけじゃなくて、あなたの気持ちが、ちゃんとほしいんです」

    ノーランドは沈黙したままだった。長い沈黙の果てに、足音がゆっくりと近づく。

    次の瞬間、アッシュの腕が強く引かれた。抱き寄せられる。肌の熱が、喉元にかすかに触れる。

    「言葉よりも手の方が、確かだからな。⋯⋯それでも、聞きたいのか?」

    ノーランドが低く呟いた。

    「言葉なんて、間違えれば全部壊す。お前が消えてしまいそうで、私は言葉を選べない」

    「それでも⋯⋯それでも、聞きたいんです。俺に振り返って、あなたの声で言ってほしい」

    ようやく、ノーランドの手がアッシュの頬に触れた。
    ぎこちなくも、迷いのない動きだった。
    それは欲を満たすためではなく、確かめるようにそっと触れる――撫でるための仕草だった。


    「私はずっと眠れなかった。⋯⋯だが、お前の呼吸が隣にあるだけで、深く落ちていける」

    振り返るその眼差しに、確かな痛みと、祈りのような温もりがあった。

    アッシュは泣きそうな顔で微笑んだ。

    「やっと⋯⋯やっと、振り返ってくれましたね」



    -END-



    ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆


    ここから始まる

    体の傷が癒え、ようやく下山した。
    他人に知られてはならない関係。
    言葉少なに扉を閉めた瞬間、安堵の吐息が重なる。
    ノーランドが囁くように唇を寄せ、アッシュも静かに応える。
    新しい暮らしが、今──ここから始まる。




    ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆


    お前が沈んだ海に告ぐ


    憎んで、愛して、許せなくて、それでも抱かれた夜があった。
    ニコルを殺したお前を、なぜまだ探してる?
    ……答えをくれよ、海。
    あの日、お前と落ちた海は、
    今も冷たいままだ。


    ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆

    たった一分でいい

    「話が──」
    「必要ない」
    問答無用に奪われた唇。
    抵抗も願いも、熱に溺れてかき消される。
    言葉なんていらないと告げるように、ノーランドは抱き潰してくる。
    一分でいい、この人の本心が欲しいのに。
    俺はまた、奪われるだけだ。

    たった一分でいい

    「話を、したいだけなのに」
    「⋯⋯ノーランド様今日は、少しだけでも話を⋯⋯」

    「これ以上、話す必要があるか?」

    低く落ちた声が、逃げ場を塞ぐようにアッシュを縫い留めた。次の瞬間、唇を奪われる。
    痛いほど強く、容赦などどこにもない。

    「っ⋯⋯!ま、待って⋯⋯俺は⋯⋯」

    口を離す間もなく、舌が押し込まれ、言葉ごと飲み込まれる。
    息すら奪われ、アッシュは涙を滲ませながらノーランドの腕の中に沈んだ。

    ——話をしたかっただけなのに。
    ほんの一言でいい、あなたの本音が欲しかったのに。

    なのに、どうして。こんなふうにされて、心は諦められない。

    「悔しい⋯⋯貴方のそういうところが、俺を駄目にする」

    「なら、黙って私に堕ちろ。言葉より⋯⋯身体のほうが、素直だ」

    アッシュは反論できなかった。
    唇も、喉も、心すらも、彼に占領されていた。



    ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆




    惚れたほうが負け

    「お前に惚れた時点で、私の負けだな」
    ノーランドはアッシュの手を引き寄せ、優しく口づけを落とした。
    アッシュは微笑んで答える。
    「じゃあ、俺も負けだな。でも、こんなに幸せなら負けてもいい」
    二人の愛は言葉より深く、静かに繋がっていく。


    ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆


    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭👏💖💒💜💙💯💒💖😭
    Let's send reactions!
    Replies from the creator