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    michiru_wr110

    @michiru_wr110

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    michiru_wr110

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    brmy
    真央衣都・秋の真央衣都祭りに便乗させていただきました。

    洋館から帰ってきた夜。お付き合いしている🧩🧵について。
    ⚠絵画イベストの微バレあり

    * * *

    数字や理屈で片づけられない焦燥が、抱きしめる腕にさらに力をこめさせた。

    「……ごめんなさい」「許さない」「えっ」

    #brmy男女CP
    #真央衣都

    捉え、囚われる、ちいさな温もり(まおいと) 事の顛末を聞いて、背筋が冷たくなったのはきっと僕だけではないと思う。

    「まったく……皆、揃いも揃って危ない橋を渡ってくれたよ」
     抱きしめる腕には無意識に力がこもっていたのだろう。まんまと閉じ込められた衣都が苦しそうに、ほふ、と息をついた。
    「ほんとうに、肝が冷えました」

     彼女の声は静かだった。震えが混じっているのは明白なのに、それを隠そうとする理性のほうが勝っている。
     ——平静を装うのも、彼女なりの責任感だろう。
     ただ、その強さは時に自分を追い詰める。僕には、それが危うく思えてならなかった。
     連れてきた僕の自室内。少し遠くに無機質な時計の針の音を聞きながら、彼女の温もりを確認する。
    「一歩間違えれば、君だって命を落としかねなかった」

     理屈の上では理解している。選択がひとつ変わることで、誰かがあっけなく消えてしまう可能性はゼロにならない。
     けれど、彼女に限ればいつだって、計算や確率の問題になどしたくはなかった。
     万が一を想像しただけで論理的な思考など放棄したくなってしまうし、直接的に彼女を守る手段がもっとあればと自分を責め立てずにはいられない。
     数字や理屈で片づけられない焦燥が、抱きしめる腕にさらに力をこめさせた。

    「……ごめんなさい」
    「許さない」
    「えっ」

     本当は冗談めかして言いたかったのに、声音には切実さばかりが募る。
     感情を抑えるのは得意なはずなのに、彼女に関してだけは制御が効かない。

    「――もう少し、このままでいてくれたら許してあげる」
     虚をつかれた衣都は、ほ、と息をついて応えた。
    「もちろんです」
     
     
     
     
     ――まあいつか、誰かさんみたいに不意にいなくなってしまうのかもしれないけれど。

    「真央さんなら、いくらでもどうぞ」

     誰もいないこの部屋なら。今は甘い言葉に縋りついても許されるはずだ。
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    michiru_wr110

    DONEbrmy
    戦衣都(+🌹&🧹)
    お付き合い済の戦衣都、主に⚔の破壊力が凄まじそうだ……と妄想した結果

    * * *

    新開さんはどこぞの王子様よろしく、ダンスにでも誘うのかと問いたくなるほど恭しく丁寧に手を取り、かれこれ数分が経っている。
    (私は一体、ドウスレバ……)
    お前のこと、全部に決まってんだろ(そよいと) この状況は彼の、あるいはその周囲の策略だったのかもしれない。

    「綺麗なもんだな」

     至近距離には今、新開さんがいる。私の手を取って、指先を矯めつ眇めつ、眺めている。

     新開さんが釘付けになっている青色のポリッシュは、水の泡を彷彿とさせる爽やかな水色から呑み込まれそうな深海色のグラデーション。小さなパールが光をはじき、親指と薬指には、真っ白な線画で漂うクラゲのイラスト。それらは指先に閉じ込められた水族館を彷彿とさせる素敵な仕上がりではあるけれど――

    (ミカさんへのお土産だったはずなのに、ここまでは聞いてない……)
     水族館のお土産コーナーにさりげなく陳列されていたのが、海の生物たちを模したネイルシール。これは、と思いミカさんや真央さん用に確保して手渡したのが一昨日。複数のポリッシュと渡したはずのシールを携え「その御御御手を拝借するわよ」と休憩室へ連れ込まれ、見事な手際で装飾を施してくださったのが昨夜の仕事終わり。
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    michiru_wr110

    DONEbrmy
    戦衣都

    味のある大根について
    辛さが喉元通り過ぎれば(そよいと) 七……八…………。
     バーベルを持ち上げる腕が、回数を追うごとに重たくなってくる。
    (オーソドックスなのは煮物かおでんだろうか)
     九…………。
     視界の端にトレーナー、もとい新開さんの姿を認める。余計なことを考えてしまうのは、目の前にのしかかる負荷からの逃避なのだろうか。
    (けれど、この時期ならもっと、さっぱりしたものが食べたい。となると)
     …………十。
    (さっぱり…………大根サラダ?)


    「よし、休憩」
    「ふう……」
     取り敢えずの結論が出たと同時にカウントが終わり、十キロのバーベルを所定の位置に戻す。仰向けの体勢のまま私は、天井の壁の無機質な模様の一点をぼんやりとみつめていた。
     当初は五キロほどで息も絶え絶えだった私が、今は倍の重量をそれらしく動かせる程度には進歩している。とはいえまだまだ初心者の域を出ない重量に違いはないし、まだまだトレーナーもとい新開さんのサポートは必須だけれど。いつものジム内、ほぼ貸し切り状態で行われるトレーニングは定期的に続けている甲斐あって、微々たる成長とともに「ある」寄りの体力に近づきつつある。
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    tang_brmy

    PAST⚠️パソスト公開前に書いたので公式の設定と齟齬があります

    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=25044306 の続きのふたりのおはなしというか、起承転結の起に当たるはなし。
    なので、衣都ちゃんが出て来ない吏衣都です。出て来るのは吏来さんとミカさんだけ。
    「その日」に思いを巡らす吏来さんを捏造しました。
    on that day「あら、吏来。いらっしゃい」
    「お疲れ」
     勝手知ったる何とやら。ジム帰りにAporiaに寄った吏来は、案内されるより先にカウンターの隅の席に腰を下ろす。
    「いつもの?」
    「うん、お願い」
     おしぼりを手渡しながらオーダーを確認したミカが、何かにあてられたように目を細めた。
    「機嫌がよさそうね」
    「わかる?」
    「それはもう。詳しく教えて……と言いたいところだけど、聞くまでもなくお嬢のことなんでしょ」
     首を横に振って肩をすくめるミカに、吏来は口の端を上げて答えとする。
    (お嬢のこと貰う約束した――とは、流石に言えないよな)
     たとえ親友と言えど、衣都を良く知る相手に詳しい話をするつもりはない。ただ、彼女とうまく行っているのが伝わればいいと、曖昧に濁す。ミカもその辺りの機微には聡いので、それ以上は何も聞かずに笑って、吏来の酒を作り始めた。
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