新世界へ 希望を胸に帰ってきたのに、苦難の連続だった。
そもそも帰郷の目的である初恋のその人は、俺のことをロクに覚えていなかったし。
初恋の相手こと、世界一薄情な女、「小波 美奈子」。――彼女は、モンスターだった。
運動ならば、体育祭で常に一位。
学業ならば、定期テストで常に一位。
マジで友達百人できそうな、コミュニケーションお化け。愛されキャラ。
だから、恋のライバルは山ほど。二十四時間、気が休まらない。
美奈子が研鑽を積み、魅力的になっていけばいくほど、俺は病んでいく。
帰ってこないほうが良かったのか?
しかしあいつの笑顔を見るたび、俺はその疑問を自ら否定する。
会わないなんて、会えないなんて、今となってはもう考えられない。
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