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    myn_hsb

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    myn_hsb

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    二万字いかないくらいで収めたい(希望)

    こ〜そくさにへし護身術の一つとして、敵の捕縛法も学んでおこうと思い立った。
     朱色の麻縄を手にした審神者が墨色の両眼を瞬かせていると、その視線の先では背を伸ばして行儀良く居住まいを整えた長谷部がはあ、と生真面目にも拘らず、やや気の抜けた相槌を打った。
    「だから俺に縛り方を訊ねたと」
    「そう。何か全然解けないやつ、捕まえたらするんでしょ?」
    「……まあ、直ぐに斬ることの無い、人間相手であればそうですね」
     ただし、大概は見敵必殺ですが。そんなことを言いながら長谷部は少し考える素振りを見せる。一体今度は何に影響をされたのか。審神者から差し出された麻縄を手に取り、まじまじと見つめると、ちゃちな造りだな、という感想を抱く。彼女の言う実用に足るものではあるが、この程度ならば容易に引き千切れる。しかしそれは刀剣である自分だからこそ思うことであり、普通の人間は簡単には出来ないだろう。
    「それで? このような御考えに至った経緯をお聞かせ願えますか」
    「そんな大層なものじゃないよ。そんな場面の映像を観て、ちょっと学んでおこうかなってだけ」
     ふむ、と顎に手を当てて思案をする。確かに人間の中にそういう輩がいないとは限らない。万が一にも主の身の安全を守る為にも必要な知識かもしれない。だがしかし、そのような事態に陥らないように自分達が常に傍にいるのだ。わざわざ彼女が学ぶ必要など無いのではないか。そんな思考が頭を過るが、それを口に出すことはない。口に出してしまえばきっと彼女は自分を納得させる理論を上手に並べ立て始めるに違いないからだ。それに今から行うのはあくまで実践ではなく訓練なのだ。そこまで真剣になる必要はない。
    「……では恐れながら、一度御手を拝借しても宜しいでしょうか」
    「うん、どうぞ」
    「手順を通して見せますので、どうかご容赦ください」





    「でもさぁ、私がこれやるとしたら相当切迫してる状況だよね」
    「ええ、考えたくはありませんが……」
     長谷部が手解きを終え、次は実際に自分を縛ってみて欲しいと提案された審神者がそれを実行に移すべく、まず初めに長谷部の手首に麻縄を回したところでそんな会話を交わしていた。二人揃って畳の上に座り込み、背を向けた長谷部が後ろに回した腕を審神者が習った通りに縛り上げていく。肩越しに振り返りながらそれを見守り、迷って手が止まれば指示を出してやる。
    「そこ、その輪に通して強く引いて下さい」
    「大丈夫? ぎちぎちだけど痛くない?」
    「平気ですよ。寧ろ敵を縛り上げると言うなら、もっと強い方が良いでしょうね」
     戦場に出ない女の筋力ではこれが限界だと、審神者は眉尻を下げて笑った。縛り終えた出来栄えはやや形が悪いものの、それでも充分に人間相手であれば実用に耐え得るだろう。軽く力を込めれば僅かに軋んだ音を立てるだけで、解けるような気配は全く感じられない。真っ白いシャツの袖ごと赤い麻縄の食い込む長谷部の手首をしげしげと見つめていると、彼がそっと息を吐き出す音が聞こえた。
    「ね、ね、本当に動けないの?」
    「……まあ、難しいですね」
     そう頑丈でもない素材、そして自身の力を考慮すればこの程度破るのは容易いが、わざわざ解く意味も無いだろうと彼は答える。ふうん、と相槌を打ちつつ審神者の指先が彼の首筋に触れた。ぴくりと震えたものの抵抗する素振りは無く、大人しくされるがままになっている。
    「お戯れを」
     くすりと笑って謝罪を口にしながらも審神者の手は止まらない。長谷部の頬から顎にかけてをゆっくりと撫で擦り、耳元へと滑らせる。指先で耳の縁を辿るようになぞると、「主」と咎めるような声が上がった。しかし言葉とは裏腹に彼の表情には険しさなど欠片も無く、口元は緩やかな弧を描いている。
    「ふふ、だってなんか面白い状況だから」
    「ん……もう、困った方ですね」
     向けられた顔の目尻に唇を寄せて審神者が囁けば、長谷部は小さく吐息を漏らしながら目を細めた。無邪気なじゃれつきなのか、その他の意図があるのか。判断がつかないままに受け入れる。そのまま何度も触れてくる手の感触に思わず喉が鳴りそうになるが、どうにか押し留める。思わず動かそうとした腕からぎち、と麻縄が鳴いた。
    「そろそろ解いて頂けませんか」
    「えー勿体無い」
     もどかしい。長谷部は内心で独り言ちた。くすくすと耳元で笑う彼女の声が鼓膜に響くのは酷く心地が良いが、同時にじわじわと焦燥にも似た感覚が沸き上がる。審神者が今の自分の状態を気に入ってくれていること自体は悪い気はしないが、背中に感じる柔らかさと温もりに少しばかり身体が強張ってしまう。このままでは生殺しも良いところだ、と。
     そんな長谷部の内情を知ってか知らずか、審神者の手は未だに動き続けている。うなじに触れ、鎖骨を辿り、胸板に触れる。普段ならば服の下に隠された肌を暴くようにして触れるが、今は互いに衣服を身に付けたままである。その事実が妙な倒錯感を生み出せば、自然と心臓が早鐘を打つ。この場に漂う空気も何処か淫靡なものに感じられる。
    「ッ……ある、じ。こうして愛でていただけるのは嬉しいのですが、これでは俺が余りにも不甲斐無く、」
    「嫌?」
    「い、嫌ではありませんが……後に、御自身も同じ目に遭われるかもしれませんよ」
     口にはせずに甘んじてこの拘束を享受しているが、正直に言えば今すぐにでも解いて欲しかった。彼女の細い腕が自身に巻き付く光景は何とも言えない甘美さがあり、このまま身を任せてしまいたい気持ちが湧き上がってくる。しかしそれ以上に甘えてくる審神者への欲求が募るばかりでどうにもならない。
     今すぐその小さな身体を引き寄せて抱きしめたい。思う存分口付けて、柔肌の輪郭をなぞり、余すことなく味わい尽くしたい。そんな葛藤を知る由もないであろう、長谷部の背後に居る審神者へ向けた警告の言葉は随分と熱を帯びて掠れたものだった。
    「……同じ目って何」
     しかしそんな彼に対して返されたのはどこか冷淡とも言える口調。先程までの楽しそうな様子とは打って変わり、平坦な声で紡がれるそれに長谷部は困惑する。何か気に障ることでもしてしまったのだろうか。不安になりながらも振り返ろうと身を捩ると、それを制するかのように押さえ込まれた。
    「あの、」
    「長谷部は私のこと縛り上げて酷いことするんだ」
    「えっ……そ、そのようなことは決して」
     背後から聞こえる声音からは感情を読み取ることが出来ず、何を考えているのか分からない。ただ、それが良くない方向へと向かっていることだけは理解出来た。
    「気に入らないなら言えばいいのに」
    「で、ですから俺は嫌などではなく、」
     続くごめんねの一言に悲哀の色を感じ取り、咄嗟に脚に力を込めると押さえを振り切って振り返る。そして視界に飛び込んできた審神者は寂しさを織り交ぜたような表情を浮かべており、先の発言が軽率であったことを自覚した。
    「滅相も御座いません、俺が貴女の御身体に傷を付けるなど有り得ぬことです!」
    「同じ目って言った」
    「そっ、それは俺が貴女を愛でられないのが口惜しくて……いえ、守りたいと想う相手に対して掛ける言葉ではありませんでした。申し訳ございません……」
     審神者の機嫌を損ねるつもりは無かったのだが、結果としてそう取られても仕方の無い発言をしたことは確かだった。長谷部は即座に謝罪を口にすると、恐縮しきった面持ちで頭を下げる。閉じた室内を沈黙が支配する中、やがて自分に向けられた煤色の頭を審神者がそうっと撫でた。
    「主、どうかお許しを……俺は決して貴女に危害を及ぼそうなどと微塵も考えておりません」
    「本当に?」
    「勿論です。お望みであれば、この身を如何様にでもなさって下さい」
     畳の上で長谷部が深々と頭を垂れ、額を擦り付ける。麻縄で拘束されたままの後ろに回した腕は朱色の線に彩られ、まるで罪人のようにすら見えてしまう。その姿を暫し見下ろしていた審神者は小さく嘆息し、顔を上げて、と声を掛ける。
     その日、長谷部は運が悪かったのかもしれないし、逆に審神者は運が良かったのかもしれない。平伏していた長谷部が審神者の口角を目にすることは無く、元より損ねた機嫌など無い審神者がその表情を捉えさせることも無かった。





     拘束された腕で身体を支え、開いた脚の上に審神者が乗っかると長谷部は僅かに息を詰めた。審神者が自身の膝に跨るような体勢を取っているせいで、少し上から覗き込むような視線が向けられる。彼女の眼差しには普段の愛らしさに加え、何処か艶めかしさがあった。その表情を向けられただけで、長谷部は身体の奥底に燻る情欲が刺激されるのを感じる。心地の良い重みと温もり。頬を包み込んでくる掌は柔らかく、慈しみを孕んでいるように思えた。
    「長谷部、」
     名を呼ばれた。それだけのことで胸中が静かにざわめき、心臓が跳ねる。その音が彼女に聞こえていないかと心配になるほどに鼓動は速まり、体温が上昇する。長谷部の色素の薄い唇を細い指がなぞり、次いで吐息が掛かる距離まで近付いたところで瞼を伏せると、そのままゆっくりと顔を寄せる。互いの鼻先が触れ合い、審神者の柔らかな髪が肌をくすぐる。ほんの数秒にも満たない口付けの後、至近距離で見つめ合う。
    「ふふ、可愛い顔してる」
    「……男に可愛らしい、というのは褒め言葉では無いと思いますが」
    「だって可愛いから。緊張の気が抜けて、思考がふわふわしてる時の長谷部の顔好き」
     余程貴女の方が気が抜けて緩んだ御顔をされているのですが、と込み上げた言葉を呑み込んだ。審神者が唇だけでなく、頬や鼻先にも口付けて戯れてくる。触れるだけのそれが妙にこそばゆく、同時に焦らされ続けているようで酷く落ち着かない。すぐに粗雑な麻縄など引き千切り、腕の中に掻き抱いてしまおうかという考えが脳裏を過ぎる。しかし、今は自身の忠義を如何に証明するかが肝要だ。それにこうして審神者に愛情を示して貰えることも悪くなく、それを無下にするなど有り得ない話である。
    「ん、ッう、」
     不意に耳を食まれ、長谷部は小さく声を上げた。そのまま音を立てて吸い付かれる度に背筋が粟立ち、下腹部にじんと熱が溜まる。耳が性感帯と言える程過敏では無いが、審神者に触れられているというだけで酷く心地が良く、興奮を覚えてしまう。ほらかわいい、と囁く審神者の声が直に鼓膜を震わせれば、ぞくりと甘い痺れが走った。
    「腰跳ねてる」
    「う、ぁ……っ」
     耳に舌を差し込まれ、ぬちゃ、という水音が響けば自然と身体が震えた。生温い感覚とざらついた表面が擦れる感覚。それらが交互に襲ってくるものだから、自然と呼吸が荒くなる。くすぐったさとは違う。けれど、快楽と呼ぶには足りない。中途半端に煽られているような感覚に思考が揺さぶられ、理性が少しずつ溶かされていく。耳元で響く淫靡な音に聴覚までも犯される。
    「あ、あの、いつまで……」
    「気が済むまでだよ。好きにしてって嘘だったの?」
    「そんなことは、ありませんが、ぅ、」
    「じゃあ大人しく待ってて。私が満足するまで、ずっと」
     ぐい、と跨った股座に押し付けるように体重を掛けてくる辺り、自分の言いたい事は見透かされて居るのだろう、と長谷部は何とも言えない気持ちになった。甘えるようにして首筋に腕を回す仕草は愛らしいのに、見つめる瞳に宿る光には魔が差す。その眼差しを向けられただけで抗う気力が削がれ、このまま好きにされたい気持ちと立場をひっくり返したい性がせめぎ合った。
     普段は見上げるばかりの審神者が自分を見下ろしている。その事実に少なからず高揚する。唇が重なると同時に、吐息と共に舌が滑り込んだ。応えるように絡めれば、水音が耳に届く。互いの唾液が混ざり合い、飲み下す度に喉が焼けるような錯覚を覚える。審神者の身体が揺れる度、腰に響く甘い痺れ。彼女の身体は小さい。こうして密着しているだけでも、薄い布越しに伝わる体温や柔らかさに理性がぐらつく。もっと触れたいと思えば思う程、拘束が煩わしい。
    「ふ、ぁ……」
     啄みながら名残惜しそうに唇が離れると、どちらのものとも分からない銀糸が引いた。いつもは凛々しく引き締まった面差しが熱欲に緩み、青紫の双眸を光らせる冷ややかさは鳴りを潜めている。薄く開いたままの口から舌先の赤を覗かせ、浅い呼吸を繰り返す姿はとても艶美だ。戦場を駆ける体躯の良い美丈夫が、自分の下でこんな顔をして乱れているのかと思うと、審神者はどうしようもなく愛おしさが募った。
    「ッは、ぅ……今すぐ、貴女を抱きたい、」
     掠れた声で懇願するように呟かれた言葉は切実で、審神者は思わず息を呑んだ。切なげに細められた瞳の奥に燃える情火がゆらりと揺らめく。長谷部の身体が動く度に、ぎし、と縄が軋む音が聞こえる。その音を聞く度に、彼の身動きを奪っているのだという実感が湧いた。
    「だめ。長谷部、待つのは得意でしょ?」
     自然と意地の悪い笑みを浮かべて告げれば、長谷部は悔しげに眉根を寄せた。いつも翻弄されているのに今は自分の手の上で転がせる状況。優越感に浸りながら、素直に反応を示している身体、そして表情と声色を楽しむ。物足りなさそうな視線を向けられて、審神者の中で芽生えた悪戯心が益々膨らんでいく。
    「あーあ、捕まって服脱がされちゃうねー」
    「……もう、悪趣味ですよ」
     きっちりと閉め切られたシャツの釦を外しながら囁けば、恨めしげな返事が返ってきた。一つ、また一つとゆっくり焦らすように時間をかけて解かれていく。露わになる肌に羞恥を覚えつつも、長谷部の目線はじっとそこに注がれたまま動かない。普段ならば服を脱がす立場だと言うのに、自分が同じことをされているという現実が妙に倒錯的で落ち着かない。早くこの状態から解放されたいと願う反面、審神者が自分を見ているという事実が酷く嬉しかった。
    「綺麗な肌……でもちょっと汗ばんでる」
     つつ、と指先が滑り、肌の感触を確かめるような緩やかさで撫でられる。シャツに包まれていた皮膚が外気に触れ、粟立つような感覚がした。身体の線に沿って這わされる掌の動きに合わせ、びくりと肩が跳ねる。触れられる箇所から徐々に侵食されていくような感覚。ぞくりとしたものが背筋を走り、意図せず声が漏れた。
    「ん、ッ」
    「立ってる」
     胸の突起は男の身であれば然程意味を成さない器官である。快感を拾うにも個人差がある上、性感帯として機能させるには開発が必要だ。ただ、視覚的興奮を高めるだけなら充分に効果があった。指先で軽く押されただけで芯を持ち始めるそれに審神者は満足気に微笑み、ふにふにと弄ぶ。その刺激は酷くもどかしかったが、着実に長谷部の腰の奥に灯る火を煽った。
    「わあ大変。捕まった挙句に胸まで可愛いがられちゃうなんて」
    「ッは、く……ッ、な、にを、」
    「ふふ、ここ、ちっちゃくて可愛い」
     親指と人差し指が長谷部の肉粒を摘まむ。くにゅ、くにゅ、と弾力を確かめるように優しく揉まれ、時折爪で引っ掻かれる。そうして刺激を与えられる度に長谷部は小さく息を詰め、喉から引き攣るような声を漏らしていた。快楽を逃がそうと無意識に脚が動くが、膝の上の審神者を退かすには至らない。
     やがて審神者が胸元に顔を埋め、舌を這わせる。小さな粒を口内に招き入れ、吸い付く。ざらついた舌の表面が擦れる感覚に身体が震える。ちろり、と舌先を動かせば、先端が尖る感覚が伝わった。舌先に感じる僅かな弾力のある硬い感覚。それを舌全体で押し潰すようにして舐め上げれば、長谷部が小さく喘いだ。
    「あ……あるじ、そのようなところ、」
    「気持ちいい?」
    「ぁ、……」
    「ねえ?」
     問いかけに答えずとも、審神者の視線が己の下腹部に向けられていることに気付き、長谷部は僅かに頬を引きつらせた。審神者の視線に晒されている部分は既に硬く張りつめている。衣服の上からでも分かるくらいにその存在を主張しているそこが、恥ずかしい。
    「可愛い」
     二人の間に伸ばされた審神者の手がスラックス越しに膨らんだ部分をなぞると、長谷部は分かりやすく身体を震わせた。そのままやわやわと揉まれると堪らず熱い吐息が零れ落ちる。布地の下で脈打つ熱塊を慈しむように撫でられると、じわりと下着の中が濡れる感覚がして長谷部は唇を噛んだ。指先で先端をしつこく擦られる。その度に下肢に甘い痺れが走り、浅ましく呼吸が乱れていく。既に勃ち上がった陰茎の形を確かめるようにして指先が這い回る。その緩慢な動きですら今の長谷部には毒だった。
    「ッあ、あるじ、お願いです、も、ぅんッ、く、」
    「わ、すごい、私を乗せてるのに腰が動いてる」
     揶揄する言葉にすら感じ入り、長谷部はきつく目を瞑った。指先が焦ったい刺激をくれるせいで余計に意識がそこに集中してしまう。身体の奥底で燻る欲熱に突き動かされるように腰が揺れ、情けなく上擦った声が漏れる。長谷部が悶える度にぎしぎしと縄が鳴り、その音に紛れて聞こえる衣擦れの音が狭い部屋の中に響く。審神者はそっと手を離すと、ぴたりと密着して長谷部の耳許にて囁いた。耳たぶに掛かる吐息の感触にさえ背筋が粟立つ。
    「私の気が済むまで好きにさせてくれるんじゃなかったの?」
    「ぅ……あッ、申し訳ありませ、ん、」
     審神者の言葉に、長谷部は弱々しく首を横に振った。焦れた身体がもっと強い刺激を求めて疼き、思考が溶けていく。はしたない、と頭の片隅に残った理性が警鐘を鳴らすが、それを上回る本能的な欲求が長谷部を駆り立てた。
     は、は、と短く息を吐き出しながら、どうにか刺激を得ようと腰が跳ねる。身体の内側で荒れ狂う劣情の捌け口をどこに求めればいいのか分からない。体内を巡る欲望は出口を求め、行き場を失ったそれが涙となって溢れ出す。視界を覆う水膜が邪魔をして審神者の表情がよく見えない。
     どうして欲しいの、と。耳に注がれる甘美な響きを帯びた声に長谷部は身震いし、喉がひくりと引き攣った。無意識のうちに口内へと溜まった唾液を飲み込む。瞬きによって水滴が弾かれ、露になった情欲の色がありありと浮かんだ瞳で審神者を捉えた。本体の白刃の如く鋭く冴えた怜悧な顔付きは見る影も無く、口端からは唾液が伝っている。与えられるものへの期待と渇望で蕩けた顔。普段の凛とした佇まいからは想像出来ないような、だらしないとも言える表情。しかし、だからこそ一層に艶めかしい。
    「ど……どうか俺を、可愛がってください……」
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    yonokisekiCR09

    DONEジャミカリ小説転生ものです。
    ようやく、1章完成出来ました。
    初めてに近しい小説で、シリーズものに挑戦したわたしは阿呆です。

    ポチ袋や反応下さった方、ありがとうございました!とてもとても励みになりました。

    *転生ものです。
    *女体化ですが、先天性ではありません。
    *原作にない地名、駅名、登場人物が出てきます。
    *キャラが崩壊しているかもしれません。
    *ところどころツッコミどころがあると思いますが、温かい目で見てやってください。
    *ラッコくんとは最後の方で再会してます。

    注意書きはこれからまた増えます。
    なんでも許せる方向けです。
    お豆腐メンタルなので、強い言葉は控えていただけると助かります。誤字・脱字の指摘はしていただけるとありがたいです。
    嫌な方は回れ右でお願い致します。

    最後の方、🐍くんがそれだけだと勘違いしてしまうような危うい?セリフを言ったりしてますが、これはわたしが彼に感じてる、そこそのセリフ言う!?
    そのセリフだけだとあれじゃない?ってところを表現したくて入れました。
    R18要素はないです。それを彷彿とさせるセリフは出てきます。

    自己解釈・想像のオンパレードです。途中で何が何だか分からなくなったので、文章が繋がってない部分もあるかもしれないです。でも、とにかく完成出来て良かったです。

    多分修正を入れて、数日後に支部に投稿する予定です。
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