「あ、あの……、聖堂機関の副機関長様ですよね?これ…クッキー作ってきたんですけど……」
「このマフラー、私が編んだんです!」
「この手紙に私の気持ちを綴ってきました……!」
「「「是非クリックさんに渡してください!」」」
「…………承知した」
俺の朝は、町の女子達に囲まれるところから始まる。クリックに渡してくれと、プレゼントやら手紙をドカドカ押しつけられて。
今日も今日とてメッセンジャーとしての一日が始まろうとしている。
+ + +
俺の同僚であり友人であるクリック・ウェルズリーは、ハッキリ言って見目はいい。
柔らかな金髪に、空の色をそのまま映したような青い瞳。
さらに、保身と権力しか頭にない腐敗しきった聖堂機関の連中の中で数少ない清く正しい心を持った本物の騎士だ。
1341