「やっぱり実家っていいよなぁ…」
ベッドの上で寝返りを打つと、きしり、とスプリングが鳴る。新英雄大戦が終わり、束の間の休日ということで潔は実家に帰省していた。この前までこの部屋で寝起きして高校に通っていたのに、「実家」「帰省」なんて言葉が自分から出てくるだなんて、なんだか不思議な気持ちになる。ピッチの上に立てば日本の中でも屈指の好選手、世界の強豪と渡り合っているけれど(渡り合えてた?よな?)、この部屋にいるときは少し前までサッカーの強い高校にいたただの十七歳の潔世一に戻る気がする。こういうのって部屋に人のいないままだったちょっとした埃っぽさだとか、ベッドの冷たさだとかそういうものが感傷を引き起こすのかも、なんて。
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