【春巳】春樹が巳波の誕生日を祝う話 そういえば、巳波の誕生日はいつだろう。本人に聞こうかと思ったけれど、折角ならサプライズでお祝いしたい。巳波の知り合いに聞こうかと考えて、巳波は芸能人であることを思い出した。そうだ、ネットで検索すれば誕生日が出てくるんだ。
そうして、調べた。ナギと同じ、六月だそうだ。六月は、巳波が留学を終えて日本に帰国する月でもある。誕生日当日はまだノースメイアにいるだろうか。居たのなら、お祝いをしよう。誕生日よりも前にここを立つのなら、お祝いだけ先にしたい。
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六月が近付いてくるが、あまりいい雰囲気ではない。
巳波は留学が終わる時が近付いていることを残念がっているし、それと同時に早く俺から離れたいとも思っている。俺はどんどん弱っていく。俺を、見ていられないんだと思う。彼が目を腫らしている日が増えている。もうずっと怒らせてばかりで、ごめんねと言うと、何も言えなくなって自分の部屋に引き篭る。でもすぐに出てきて、俺に視線を寄越す。倒れてもすぐ駆けつけられるように、見守ってくれているんだ。
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