アシュルク1 今日は家に誰もいない。
父はいつも仕事だけれど専業主婦の母は友人の家へ、面倒を見てくれている居候の幼馴染はまた別の幼馴染に会いに行くのだと今朝言っていた。常であれば誰かが何かをしている生活音が耳に届くはずの大きく広い屋敷には今、アッシュとルークだけが居た。
そんないつもと違う家の、いつもなら一緒にいないはずの二人は今、屋根裏に用意されたかつての二人部屋の決して広くはないソファの上で額を突き合わせていた。
傍から見れば随分と近しい関係なのだろうと思えるだろう。事実二人は昵懇の仲と言えたし、そもそも双子の兄弟であったから、生まれる前から一緒にいたのだし、生まれた後とて一緒にいても大した驚きはないだろう。……第一それがなかったとしても彼らは所謂ところの恋人同士であった。
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