始まりここは薄暗いバンカラ街の裏路地。同じバンカラ街でも表と比べたら別世界のように感じさせる。
そこに虎のような風格を纏う女が身なりがボロボロの少年を見つめ静かに佇む。女は口を開いた。
「……アタシと来い」
時は少し遡る。
「チッ…どいつもコイツも…」
静かにぼやきながらロビーから出てきたインクリングの彼女の名は「トラ」。
つい先ほど賞金稼ぎのためのバンカラマッチを終わらせたところだ。
「アタシと組めば楽に稼げるっていう魂胆が丸見えで嫌になる…」
(クソ親父みたいに利用されるのはもうご免だ…)
トラは自身の生い立ちを思い出し顔を歪めた。
「……一服」
トラはあえて人気のない裏路地に足を運ぶ。一人静かに一服しようと奥の方まで来たが何やら騒がしい。様子からすると何か揉め事が起こっているようだ。
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