6話前提唇に、ぴりっとした痛みが走り弾は顔をしかめた。どうやら唇の端が切れたらしい。
舌で切れたところがどこか探りたいが、今は雑誌撮影のために貸し切ったスタジオで出番待ちなのでそうすれば、せっかくやってもらったメイクが落ちてしまう。
7人にメイクするだけでもすごく大変なのに、さらにもう一回メイク直ししてもらうのはさすがに気が引ける。そう考えて、弾は我慢することを選んだ。
我慢することを選んだが自分が思っている以上に深く切れているらしく、うっすら血の味を感じる。どれくらい切れているか、一旦スマートフォンのカメラで確認しようと机へ伏せて置いていたスマートフォンを手に取った。
スリープモードを解除し、カメラを立ち上げる。レンズの向きがこちら側になるインカメラモードへ切り替え、弾はスマートフォンを顔の前に掲げた。
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