悪い女 1.5「おう、晶」
どかりと隣に座ったブラッドリーは空を見上げる晶に倣って同じように首を上げる。
満点の星空に、ほとんど満月に近い形の月がどんと空を照らしている。
「なんか寂しいですね」
「あ? なんがだよ」
「月がほら、今まで満月だったじゃないですか」
「呑気なもんだな」
くぁっと大きな口を開けて欠伸するブラッドリーにくすくすと晶は笑う。
笑う晶を横目で見て、ブラッドリーがごろりと腿の上に頭を預けてきた。
「貸せ」
「高いですよ」
「言うじゃねぇか、お前」
「あはは、髪触っていいですか」
「好きにしろ」
素っ気ない。でも、いつかは拒まれたのに受け入れくれたことに、胸がじわりと喜びに満たされる。
ブラッドリーの硬くてしっかりした髪に手を埋める。
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