散兵様の鳥籠今日はとても悲しいことが起きた。
対雷電将軍の訓練を終えた私は、人気のない林の中で星を眺めていた。
「スカラマシュ……」
稲妻の人々を苦しめる要因に彼が深く関わっていたなんて。なにかを企んでいるのは分かっていたけれど、ここまで……酷いことを。どれだけの人が邪眼の餌食になったのか。
声高々に嗤う彼の姿が頭から離れない。
(……けど)
私が彼を突き止めた時、ほんの少し切なげな眼差しを向けてきた気がした。見つけてしまったか、そんな眼差しを。
(違う、か)
そうであってほしい私の願望だ。だから気のせいなのだ。甘い考えは捨てなくてはならない。いざとなれば彼をこの手で、
「……できないよ」
なんてザマだ、稲妻の仲間たちに申し訳が立たない。彼らの悲しみを忘れたのか。
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