姫花「ただいまー」
母「おかえり。もうご飯できるから座ってて」
姫花「はーい」

姫花「ね、花葉」
花葉「なんだよ？」
姫花「アイドル、モデル、俳優とかで、オレンジの髪でふわふわっとした感じの人、知らない？」
花葉「…犬？」
姫花「人って言ってんでしょ！」
花葉「そういうのお前の方が詳しいんじゃねーの？」
姫花「んー、調べてるんだけどさぁ。全然引っかからなくて。あの感じ、絶対芸能関係の人だと思うんだけどなぁ…」
母「おかえり花依斗。もうご飯できるよ」
花依斗「ああ」
花葉「あ、兄貴おかえり。んで、何でそんな必死に調べてんの？」
姫花「おかえり兄貴。兄貴が俺より遅いの珍しいね？んーと、俺さぁ、今日真上から鉄骨が落ちてきてさ、そん時に助けてくれた人がいて。火の魔法が使える人なのかな。その人が放った火の玉で大きい鉄骨がベコォンッッってなったの。で、颯爽と助けてくれただけじゃなくて“ 大丈夫？ケガしてない？”って手差しのべてくれて。もうめっっっっっっちゃかっこよくてさぁ。俺一瞬でファンになっちゃった」
花依斗花葉「…は？」
花葉「いや、ツッコミどころが多すぎてどこから突っ込んでいいのかわかんないんだけど。まず何？事故に遭いそうになったってこと？」
姫花「うん。そー。」
花依斗「そー。じゃねえよ。ケガはしていないのか？」
姫花「ん、このとーり。ピンピンしてるよ」
花葉「んで、鉄骨をベッコリへこますくらい強い魔法だったと？」
姫花「そうそう！音もバコォン！！って凄かった！そんでさ、その人が工事の人達に“ すみません。鉄骨使えなくしちゃって…”って。けど工事の人たちもケガがないなら全然！！！！って言ってたよ」
花依斗「…相当強いやつだな」
花葉「それで、お前はその人のこと探してんの？」
姫花「そ。マジかっこよすぎてさ、また会いたいの」
花依斗「名前は？」
姫花「それが俺としたことが聞き忘れちゃってさー。見た目しか覚えてない」
花葉「で、その見た目ってのがさっき言ってたやつ？」
姫花「そうそう。背が高くてスラッとしてて、オレンジのふわふわっとした髪に胸くらいまでサラサラっと長い毛もあってさ。もうとにかく顔が良かったの！しかも雰囲気もThe！！！王子！！！って感じ」
花依斗「…そんなやついるのか？」
花葉「聞けば聞くほど犬っぽい」
姫花「いたんだよ！！！マジでマンガから飛び出してきた王子みたいな人！！！」
花葉「…その人も兄貴みたいに実は超口悪かったりして」
姫花「絶っっ体ない！あの人は絶対見た目も中身も王子！兄貴とはオーラが違うもん！」
花依斗「…言いたいことは色々あるが…まあいい」
姫花「はぁ〜…あの人もう1回会えないかなぁ…ちゃんとお礼言いたい」
花葉「仮にお前の予想通り芸能関係の人だったとしたら会うの無理じゃね？偶然通りかかっただけかもじゃん」
姫花「そ〜〜〜なんだよねぇ〜…はぁ…なんで名前聞かなかったんだろ。まあかっこよすぎてそれどころじゃなかったんだけど」
花葉「かっこいいの前に自分の身を案じろよ」
花依斗「まったくだ。…他に特徴はないのか？」
姫花「えぇ？うーん。見た目しかわかんないからなぁ…歳は兄貴とあんま変わらなそう？あ、声もかっこよかった。マジで王子」
花葉「…身体的特徴しかねえじゃん」
姫花「しょーがないじゃん！名前も聞けなかったんだから！！」
花依斗「…」
姫花「もしかして兄貴の知り合いにいたりする？」
花依斗「そんなやつ知らん」
姫花「あ〜〜〜〜情報0だぁ〜〜〜。またあそこ通っていれば会えたりするかなぁ」
花依斗「また鉄骨が落ちてきたらどうするんだ」
姫花「そんなことめったに起こらないでしょ。それにまた助けてもらえるかもしれないし！？」
花葉「そんな偶然に命かけんな」
姫花「だって〜〜〜…また会いたいもん」
花葉「てか帰り道にそんな工事現場あったっけ？」
姫花「ないよ？今日は気分的に別の道から帰ってみただけ」
花葉「それで事故に遭いかけて超かっこいい王子サマに助けてもらった？」
花依斗「偶然が重なりすぎているな」
花葉「これは二度と起こんねーわ」
姫花「もー！花葉も兄貴も諦めないで探して！君たちの可愛い弟はあの王子にもう一度会いたいの！」
花葉「…なんで俺たち勝手に協力することになってんの？」
花依斗「…お前は手伝ってやれ」
花葉「あ、兄貴逃げんなよ」