干し肉 もうちょっとの先だってわからない。吹雪の中、懸命に足を動かしている。一度でも止まったら、もう動けなくなってしまいそうだったから。意識がもうろうとして、ただでさえ見えない視界がどんどん狭まっていく。ひたすら進んではいるけれど風を遮ってくれそうな場所なんてどこにもない。もう、もうだめだ。
「大丈夫?」
声が聞こえた。
目が覚めた。そこは、人どころか草木も見当たらない雪の大地ではなく、木の暖かみを感じる大きな部屋だった。目の前ではストーブの火が揺らめいている。ぼくにはブランケットがかけられていたらしく、体をおこすとぱさりと床へ落ちた。目線を下に向ければ、さっき落ちたブランケットがあり、ぼくの下には毛布が敷かれていることに気づいた。
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