残留「そろそろ寝るか」
一人暮らしの部屋でポツンと独り言を言い、小戸川はよいしょと布団を敷いた。寝巻きに着替え、剛力に処方してもらった薬を飲み、布団と布団の隙間に体を捻り込む。
(効かない薬だと言うのに、我ながら律儀だわ)
どうせまた数時間後に白んだ空を絶望的な気持ちで眺めることになるのに、性格だろうか、キッチリ服薬は守っている。
やがて脳の裏が細かく痺れる感覚が広がり、ふわりとしたごくごく軽い眠気がやってきた。この状態になると手足は軽くふらつくし、タクシーの運転などままならない。
ぼんやりと天井を見上げて、意識が飛ぶのを待っている。
(天井のシミを数え終わる頃には……なんて言葉あったな。なんだっけ、下ネタだっけ)
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