聞き慣れたアラーム音で、沈んでいた意識が浮上する。
「ん〜……」
なり続ける音が響いて頭が痛いし気持ち悪い。昨日勝負に負けてイッキなんかしたせいだ。重くて開かない瞼をそのままに、枕元にあるはずの音源を探る。ぽふぽふと柔らかいマットレスを叩きながらスマホを探していると、衣擦れの音がしてから画面を叩く音、そしてアラームが止まった。
「え」
_____やらかしたか!?
人がいる、と気づいた瞬間にざあっと血の気が引いて一気に覚醒する。
勢いに任せて飛び起きる。隣に、誰かいた。
まず目に映ったのは、長い長い黒髪。それから、スマホを握る大きな手。あきらかに、女性のものではない首筋と肩_____
「ん、おは、よう……」
聞き覚えのある、低く響く声。
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