そこシャルドネくんとツーリングをする事になった。
「最近嫌な事あっただろ。気晴らしに遠くへ散歩でも行かないか?」
どんなに心を隠しても偶にバレちゃうんだ。もっとシャルくんみたいに上手くならないと駄目だね。気を付けなくちゃ。
バイクに2人で乗って遠出する事を、ダンデムツーリングって言うんだって。シャルくんと居ると初めて知る事が多いな。それに、バイクの二人乗りは初めてだから少しドキドキしてきた。
何処へ行きたいか聞かれたけど、僕はコレと言った物が思い浮かばなくて、シャルくんのオススメは、と聞いてみた。
「そうだな、水でも見に行くか」
「水?ふふ、何それ」
「着いてからのお楽しみだ」
海か、湖か、それとも何だろうな。噴水とか、もしかしたら公園の蛇口かも知れない。それは無いと思いたいけど、シャルくんなら有り得るかも。
ここは僕の好きな湖だ。ああ、そうだった。子どもの頃に湖が好きでよく泳いでた話を昔したんだ。覚えててくれたんだね。思い出したらうずうずして、我慢出来なくなって、僕は湖へ飛び込んだ。
シャルくんの呼ぶ声が聞こえた気がする。
あぁ、水ってやっぱり良いよね。
ゆらゆら、きらきら。
水面を見上げて泳ぐのが僕は好き。
このまま消えてしまえたら…
アウリス!
水面に顔を出すと、はあ、とため息を漏らしたシャルくん。僕が中々上がらないから心配してくれたのかも。どんな顔してたんだろ、見たかったな。
君が呼んでくれなかったら、そのまま沈んでも良いかも、何て考えてたって言ったら怒られるかな。