シャル×アウ「やあ、こんにちはアウリス」
「…………ぅん?」
声が聞こえる、誰だろう。
「おはよ-----眠り姫様----ふふっ」
とっても眠くて瞼が上がらない。何か話してるけど全然分からないや。誰かが笑った後、髪に何かしてる。んんぅ、待ってて今起きるから。
んん?なぁにコレ。目の前に居る人がまた何か話してる、その人が僕の隣にクッションを置いた。僕がぬいぐるみ好きなのを知っててたまに置いて行ってくれる人が居るんだあ、寂しく無いようにって。この人もそう言う人なのかな。クッションには何か模様が描いてある、多分ビクトールだ。何で描いてあるんだろう。分かんないけど、ふわふわ感は気に入ったよ。
それにしてもコレくれた人誰なんだろう。僕はじーっと見た。入って来た時にやる気は無かったようだけど、今は何だかイライラしてる?
少し時間が経ってやっと目が開いて来た。誰かなんて、よく見なくてもすぐ分かった。でもここへは来てほしく無かったなあ、ならべくなら同年代の子と関わりたく無い。何でかって?こんな姿、誰も喜ばないもんね。喜ぶのは、今入ってこようとしてる僕のお友達ぐらいだよ。
シャルドネがあの人達を誘って扉の外へ出て行った。僕まだ相手できるよ、いっぱい楽しい事したいのに。でもシャルドネはそれを良しとしてないんだろうな。うう、また眠くなって来た。シャルドネとお友達が帰って来る前に目覚まさなくちゃ。
そんな事を思って居ると向こう側から血のにおいが漂って来た。ああ、シャルロットに手を出そうとしたんだ、僕だけにしとけば良いのに。お友達減っちゃったな。
シャルドネがタバコの煙を燻らせながら帰って来た。イライラが増してるのかな、そう言う時こそ僕を使ってよ。それに僕ももっと欲しいんだ。
「シャルドネが遊んでくれるの?」
僕はシャルドネに跨り、僕を好きにしてと眠い目を擦りながらも伝える。でも、好意を伝えれば伝える程なぜかシャルドネの機嫌が悪くなって行く。どうして?僕、何か悪い事しちゃったのかな。やだ、嫌いにならないで。
「………シャルドネ?」
「………君はその人生で満足しているのか?」
肩を掴まれると強い感情が流れて来た。
久しぶりに感じたこの感じは開心術だ。寝ぼけていて思わず使ってしまったが、シャルドネのこんな乱れた心を見るのは初めてだった。でも僕にはもう無理だよ、文字通り手も足も出ないからね。
「すまない、私と遊ぶんだっけか?……オーケイ」
シャルドネが吸っていたタバコの火を消すと、僕が待ち望んでいた行為が始まった。後は流れに身を任せるだけだ。
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「シャルくん?」
黙ってどうしたんだろう。
なんかぼーっとしてない??
こんな隙だらけなの珍しい。
じゃあやるしか無いよね、アレ。
「……………えい」
「っ、ひゃ!!や、やめろって!」
僕はシャルくんの背中をなぞってやった。
ふふ、そんな声出るんだね。
「何ぽけーっとしてたの?」
「………別に」
絶対何かある。僕に隠し事はできないぞ。
このタピオカに見惚れてたんだろ!!!
「、っ?!」
ほらほら〜、この黒くてまぁるいモチモチのタピオカ食べたいでしょお??
「やめろ、それを、俺に、近付けるな」
好き過ぎて遠ざけたいんだね〜分かるよ〜
でも、ほれほれ〜もっと近くで見なよ〜!
ほら、遠慮しないで〜!
どんどんとシャルくんへ近付いて行くが、ソロリソロリと彼は後ろへ下がって行く。
まあ分かっててやってるんだけどね。
「離れろ」
「まだコレ怖いの〜美味しいのに〜」
何でこの美味しさが分からないかな??
目の前で盛大にタピオカをすすってやり、この言葉も忘れずに言ってやる。
「あぁ〜カエルの卵美味しー!」
「……うぇっ」
嫌いなのにまた飲んでるとこ見て、視線そらしてやんの、ふふ。揶揄いがあってシャルくんは面白いね。もう一回見せ付けておこ。
改めてじっとシャルくんの顔を見る。いつ見ても顔が良い。喋んなかったらイケメンなのになあ。あれ、今イケメンって思った???今度は僕が視線を逸らす羽目になった。自爆だ、くそう。
「ふふ、いつになったら慣れるんだ?」
絶対どっか赤くなったんだ、そう言う細かいところ見逃さないのがシャルくんだよね。それに、さっきの仕返しと言わんばかりに、言葉と指で小突いて来る。
いっそのこと嫌がる事全部やってやりたい気持ちだ。嫌な事、苦手な事ねえ…あ、良いこと思いついちゃった。
「ねぇ、この前のどこでも付き合ってあげるぜチケット、今使おうかな〜」
このチケットは以前、ゲームの賭けで勝った時にもらった物だ。絶対僕が素直に、どこへ行きたいって言わないから、気を使って作ってくれたに違いない。それにしてもゲーム、弱かったな…。
「何処に行きたいんだ?」
「水族館」
「…………………」
その顔が見たかった!普段見れないシャルくんが今日はてんこ盛りだね!!黙りこくっちゃって、ニヤニヤが止まらないよ!!いや〜楽しみだな〜!!
「ほらほら、行こ〜」
僕はシャルくんの手を掴み、彼の気持ちなんてお構いなしにグイグイと引っ張って歩く。
手元のタピオカを見ながら、カエル居ると良いな!とシャルくんに聞こえるように言うのも勿論忘れない。