あめ(代理)の過去小説ビル風が頬を撫でる屋上に、私は立っていた。下には、蛍の光のような水玉模様が見える。車、信号機、街を行き交う人々…その全てが、まるで宝石のように輝いている。最期に見る景色がこんなに綺麗なものだなんて、私には勿体無いくらいだ。
散々な人生だった。他人に色目を使って、劣等感に押し潰されて、嘘で人を騙して、人に要らない心配をかけて、迷惑を沢山かけて。何故生きているのか、何度もわからなくなった。何回も死のうとした。勇気がなくて、成功しそうになったことは一度もないけど。
だけど、今なら出来る気がする。ここから飛べば、きっとすぐにこの世からいなくなれる。
大丈夫。私なら出来る。このまま未遂で終われば、きっとまた後悔する。生き地獄で生きていくことになる。
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