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    酸性雨

    @Ame_rain_star

    えっちな絵とか人を選ぶ絵を投げます 多分

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    酸性雨

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    代理の過去

    あめ(代理)の過去小説ビル風が頬を撫でる屋上に、私は立っていた。下には、蛍の光のような水玉模様が見える。車、信号機、街を行き交う人々…その全てが、まるで宝石のように輝いている。最期に見る景色がこんなに綺麗なものだなんて、私には勿体無いくらいだ。
    散々な人生だった。他人に色目を使って、劣等感に押し潰されて、嘘で人を騙して、人に要らない心配をかけて、迷惑を沢山かけて。何故生きているのか、何度もわからなくなった。何回も死のうとした。勇気がなくて、成功しそうになったことは一度もないけど。
    だけど、今なら出来る気がする。ここから飛べば、きっとすぐにこの世からいなくなれる。
    大丈夫。私なら出来る。このまま未遂で終われば、きっとまた後悔する。生き地獄で生きていくことになる。
    そんなことになるくらいなら、今ここで終わらせよう。これ以上、どうしようもなくなる前に。
    次は、誰かを救うことが出来るかな?
    次は、人を幸せに出来るかな?
    次は、人を愛せるかな?
    次は、自分を愛せるかな?

    嗚呼、次の人生があるかなんてわからないのに。もしかしたら、次もろくでもない人生かもしれないのに。

    あ、そうだ。これは言わなきゃ。
    ごめんね。もっと、みんなと一緒に居たかったよ。
    部活でバカやってさ、何だよこのクソ譜面って笑いたかったよ。泊まりもたくさんして、いっぱい絵描いてさ、もっとみんなの喜ぶ顔が見たかった。
    置いて逝っちゃうことになって、ごめんね。
    私は、みんなの神様になれたかな?
    ……なんてね。

    微笑みを浮かべながら、左右の肢を地面から離す。身体が、宙に投げ出される。
    私が落ちる、堕ちる。
    みんなの“神様”が堕ちる…これこそ本当の堕天……かな?なんて厨二なことを考えていると、楽しい思い出や嬉しかったことを思い出して、明るい気分になる。夜風が私を包み込み、まるで天使の翼が生えたように心地いい。
    鳥ってこんな気持ちなのかな?空を飛ぶってこんな感じなのかな?海風に乗って飛べたら、もっと気持ちいいんだろうなぁ!
    あはっ…わたし、いま、しあわせだよ。いままで、こんなにしあわせになれたこと、きっといちどもないよ。こんなにきもちよくなれるのなら、しんじゃおうなんてかんがえなきゃよかったなぁ。あははは!このまま、いつまでもとんでいられたらなぁ!!

    蛍の光のような水玉模様が、鮮明にあるべき形へと変貌していく。光が目前になる。地面が近付く。
    「…………、」

    言葉を発する暇もなかった。目の前が、深紅に染まる。ざわめきが聞こえる。
    ………なにか、きこえる。これは、サイレン?あ、わたし、わたしは……………………









    「は?嘘だろ?なんで意識があんだよ」
    死んだはずの私の目に映るのは、落ちて倒れた私の身体。黒い地雷系のワンピースが血で濡れている。黒いせいかあまり血の色が映えていないが。
    というか、何故意識がある?疑問に思い足元を見ると、水色のサンダルと、サンダルと同じ色のサテンのリボンが巻かれた白いレッグウォーマーを履いた細い足が目に映った。────所謂天使界隈じゃん。生きてる時に着たかった。
    …………そうだ、前の私は“神様”として、死者の魂を回収したり悪霊を祓ったりしていたはず。前の私なら、何か知ってるかも。意識を集中させ、前の私と魂を連携させる。

    居た。金髪に深い緑の目、錫杖を手に持ち左右違うデザインの靴を履いた個性的な姿が目に映る。
    いつもの違うところと言えば………だんだん姿が透明になりかけているところだが。
    「成る程、お前が次のオレのポジションに就くわけね。」
    私の姿を捉えるや否や、彼は私の正体を見抜いた。流石と言うべきか、同じ私なのだからわかって当然だと言うべきか。
    消えかけの彼は続ける。
    「正直、いつかはこうなる気はしてた。こーゆーの、長続きしないってことはオレが一番よくわかってたからな。」
    「なら、新しいオレに、この力を渡しておかねーと」
    「わかるか?“創造”の力だ。これがあれば、お前は“創る”ことが出来る。この世界の森羅万象を、お前の手で組み換えるんだ。」
    「試しに、死んだオレ?お前?の肉体にその力を使うといい。きっとお前にとっていいことがあるから。」
    「じゃあ、オレはここらでお暇するわ。あ、そだ」
    「部活のみんなに、伝えてくれ。部長には、みんなを宜しくって。顧問には、風邪引くなよって。副部長には、花の水はちゃんとやれよって。あ、副部長ならちゃんとやるか……。あ、アイツには、チビといつまでも仲良くやれよって。アイツなら問題ないと思うけど。そうだ、あの人には、お前の人生の主役はお前だって言ってやってくれ。あの人は脇役なんかじゃねぇ。立派な、───────」
    最後は、聞き取れなかった。けど、彼の言いたいことは自然とわかった。

    神様は消えた。なら、神様に遣わされた私は天使というべきか。
    行こう。私の遺体を探して、神様の言われた通りにしないと。

    遺体は、案外早く見付かった。というか、魂の連携を切ったら何故か目の前にあった。
    神様の置き土産か?と思いながら、言われたように力を行使する。
    すると、冷たく横たわる私の肉体が徐々に熱を帯び、赤と青の光の束が私の肉体を包む。

    ────次の瞬間、私の目に映ったのは、美しい瞳を湛えた少年と少女だった。
    「……ご主人様」少年が呟く。
    「マスター……」少女が呟く。
    …成る程、私は察した。
    要するに、この子達は死んだ私の肉体から生まれた双子で、私の子供であり召し使い?的なポジション………ということ。
    ということは、名前をつけてあげるべきか。少年少女は、待望の眼差しで私を見つめる。
    私達は、三人で創造神。陸海空、森羅万象を3人で創り、制する者達。
    なら、私は天から降り注ぐ恵みになろう。陸に住むみんなに恵みを与える天使。それが私「雨」だ。
    そうだ、なら二人は空と海に纏わる名前にしよう。
    男の子が「宇宙」、女の子が「海未」……ああ、我ながらいい名前だ。ちょっと捻りがないかもしれないけど。
    私たちで、世界を創る。この世界を“創作”する。

    「…………これから宜しくね。宇宙、海未。」















    「~~~~~!!!俺は銀河最強なのに~~!!!」
    「宇宙くん、いつまでも駄々捏ねないで。甘愛ちゃん困ってるから。」
    「ありがと、海未。わたしは大丈夫だよ。」
    「これからもみんなで、頑張ろうね」
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