「カーヴェ?」
夜中、部屋の明かりはついているのに物音がしない。不思議に思い声をかけるゼン。机に突っ伏すかべ。寝ているのかと思ったが、
「……ル、ハイゼン……」
「仕事をしているわけじゃないなら、早く寝るといい。休息も仕事のうえでは、」
「アルハイゼン」
「おい、カーヴェ」
フラフラと立ち上がり、ゼンを抱きしめるかべ。
「ずっと、考えていた」
「何を」
「あの時君に声をかけたのは、間違いだったって」
「そうか。ならばこの腕を離すことだな」
「嫌だ」
「おい、」
「苦しい」
「なに」
「君といるのも、君と離れるのも、君に軽蔑されるのも、君に助けられるのも、全部苦しい。君になんて、話しかけるんじゃなかった。君なんか……」
「……」
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