他愛もない夢湿気のこもる部屋で二人きり。むせ返るような熱風がじとりと体に纏わりついて、にじむ汗が肌を伝って落ちていく。息を吐いて少しでも冷まそうとするのに、吸った息の熱さに更に内臓が焼けていく。
「もう限界かよ。情けねぇな」
挑発的にかけられた声は、普段なら嘲るような響きを感じるのに、今は何故か他愛もないからかいに聞こえる。
「まさか。てめぇこそ真っ赤じゃねぇか。無理ですぅって鳴いて出てってもいいんだぜ、ブタ野郎」
頬が上がっているのを自覚する。絶対に負けてやるものかという気負いと、吠え面かかせてやりたいという対抗心が混ざって、どこかワクワクとした喜びに似たものが満ちている。
相手も同じように笑っていた。顔も体も真っ赤にして、目も少しずつ虚ろになりながらも、その奥には輝きがある。
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