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    ofuku0720

    @ofuku0720

    気ままに五悠を書いてます!
    よろしくお願いいたします

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    ofuku0720

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    Xで気ままに描いている
    先読み(未来を占う)女装五条×運命に翻弄されてる?王族の悠仁の話
    まだまだ序盤で面白いも何も無いけど、よろしければ見てやって下さい。
    のちのちR18になります。
    五条は好きで女装をしている訳でもないです。もぶもでます
    誤字脱字はスルーでお願いします

    運命の子 忌み子…鬼畜腹から出てきた子…
    己の片割れを、そう呼ばせたくないために虎杖悠仁は産まれてからすぐに、名家でもある両面家から捨てられた子供。
    兄と妹の間に産まれ、更に双子…それは誰かに知れる訳にはいかない、隠しとうさないとならない真実。本来ならば悠仁は産まれてすぐに殺されていた。
    しかし、悠仁を見た両親は手にかける事が出来ず、傍にいたメイドに悠仁を託した。メイドは悠仁を受け取るとその場から逃げ出した。小さな村で父無し子といわれながらも、明るくて元気な悠仁は周囲に溶け込んで暮らしていた。今日まで母親と血が繋がって無いなんて疑いもせずに。
    「悠仁…逃げなさい」
    「母ちゃん?」
    業火に焼かれる街に悲鳴が響き渡る、大好きな村に大切な人達の無惨な断末魔…そして、自分を探しているのだという兵士達の声。
    「貴方は…私のお子ではないのです」
    「母ちゃん…」
    「逃げなさい、悠仁…」
    母親は悠仁を強く強く抱き締めて髪を撫でる。
    「大きくなって良かった…」
    「…っぅ」
    「貴方様を旦那様に預かった時、絶対に幸せにすると誓ったの……」
    「母ちゃん…母ちゃんがいないと幸せになんかなれんよ!」
    「私は悠仁が長生きしないと幸せになれないわ」
    忌み子、忌み子を探せと大きな声が響くが、村のものも悠仁を差し出す様な真似はしない。
    自分がそこに出ていけば村の人は助かるのではと飛び出そうとした瞬間、悠仁は引き止められて顔を左右に振られた。
    「悠仁、良く聞いて…忌み子は貴方じゃないの…両面家に残された宿儺様の方なのよ!」
    「えっ?」
    「占いででった結果は、貴方がこの国の王となる者だったの…だけど今更、貴方を彼とすり変えるには年が行き過ぎていたの……」
    そして都での反乱騒動が村に流れた時に、彼女は悠仁と共に此処を去ろうとしたが、神の御加護がある子の上に何より誰よりも優しく、思いやりのある悠仁を守ろうとこの村の人が決めたらしい。
    「だから逃げて…この村の人の無念を貴方が代弁して伝えなさい…強くて正しい道を見極められる王になりなさい」
    そう言われて悠仁は裏口から外に放り出された、そこには村で一番仲の良かった同い年の伏黒恵が居た。
    「伏黒…?」
    「いこう…虎杖」
    「でも皆が」
    悠仁の言葉に伏黒はぎゅっと掌を握り込むと唇を噛み締める。
    「王都の奴らに迫害さる奴らを守れるだけの力と地位をつけろ…」
    「伏黒?」
    「そして、この村の人達が無駄死にならない様に、お前がこの国の頭に立て」
    自分達の後ろからは今も沢山の悲鳴が聞こえる。そして自分の住んでいた家からも揉める話し声と、大好きな人の悲鳴が響き渡ると悠仁は泣きながら伏黒と走り出すのだった。


    ◇◇◇

    村が焼かれ兵が居なくなった村に一人の男が呆れながら立っていた。
    「あっちの国の内情とか興味は無いんだけどね…流石にやり過ぎだよね」
    名は五条悟、綺麗な銀髪を風に揺らして目元には黒い布を巻いて居るのだが、彼には布越しにもちゃんと周りが見えている。
    職業は先読みという名の占い師、五条の家は自国の王家とも繋がる正式な占いの家計だ。
    少し前に見た夢でこちらの国を落とすお告げをみたのだが、国の為に働く気も無い五条は制式な王になるだろう青年を助ける気にならなかったのだが、一瞬だけちらついた彼の面影に、心がざわついた。そして誘われるようにこの地に立って居た。
    「忌み子…ねぇ」
    顎に手を置いて五条は考える。元々の元凶はこの国の先代の王が妹との間に関係作り、忌み子にあたる子を孕ませた。更にそれが鬼畜腹と来たものだから両面家は娘を隠して子を産ませて、一人を殺して上手くしてやったとおもったが、まさか生き残っていた事を占いで知り。更に逃がした子が正式な後継者だと知ると焦り出した。
    既に皇太子の宿儺は齢10を過ぎていたし、顔や体には産まれてすぐに呪われたように痣が浮かび上がった。
    元々、宿儺を受け入れ切れない母親である皇女は常に悠仁を探していて、宿儺に冷たく存在すら認めない程、父親である皇帝陛下の正妃が面倒を見ていたが愛されることも無くそだった。
    そして極めつけは、皇女に
    「お前ではなく、あの子を引き取ればよかった! 化け物のアンタが忌み子よ! あんたみたいな子王にしてたまるか!」
    気狂いした様に皇女は宿儺を目掛けて刀を振り下ろした。しかし次の瞬間さされていたのは皇女だった。
    それを切っ掛けに宿儺は城のものを手にかけると、血塗られた王座に着いたのだ。
    これが五条が自らこの国の経緯、彼に撮って過去を除くことも容易い、だからこそお目当ての人物をさがすのもいとも簡単な事。
    「みーつけた♡」
    兵士の死体に軽く触れて流れてきた映像に微笑む
    「後処理は確認しないと痛い目をみるよ」
    五条はくすりと笑い、水の音の方に向かう。少し大きめの川に赤い液体が混じっていたので、それを辿り目背をを上げると、黒髪の少年がお目当ての子を抱えて川の中で座って居た。
    「ねぇ? 動ける?」
    五条の声に少年は顔を上げて小さく頷いた。
    「じゃおいで、大丈夫…僕はその子にが欲しいだけ」
    五条はそう言うと傷だらけの悠仁を抱き上げると、額にキスをする。
    「復讐に力を貸してあげる」
    「あんたは?」
    「最強の占い師で、彼の旦那様かな♡」
    楽しげに笑う五条に少しだけ伏黒は恐怖を感じるのだった。


    暖かい温もりと、柔らかく明るくなった気がして悠仁はもぞりと体を動かした。
    「って…」
    体の所々に走る痛みに悠仁は小さな声をもらして傷口を抑えた。目を閉じて思い出す、焼かれる村にたくさんの悲鳴…自分が生まれて来なければ、あの村の人や母親は死なずに幸せだったのだろう。
    「忌み子じゃん…」
    悠仁はシーツを握りしめて唇を噛みしめた。
    「なんで俺が生きてんだよ!」
    「それは悠仁があの国の王座につくはずの運命だからね」
    悠仁の悲痛な叫びに答えるようにのほほんとした声で返答があり、悠仁はおどろいてそちらを向いた。
    綺麗な長い銀髪を金の装束て一つに纏めて、長身のその人物は明らかに男だが、女性物のふくを着ていた。しっかりとした体付きだが、スリットから覗く脚、袖から出ている二の腕から指先は、ごつごつとしているのにとても綺麗だ。
    そして綺麗な顔立ちで鼻も高く、唇も柔らかそうなのだが、目元は黒い布で覆われている。
    「誰…アンタ?」
    訳が分からないままに村を焼き払われ、忌み子だ最悪だと叫ばれて刀を振りがざれて、逃げるように崖に伏黒と飛び込んだ。痛いも苦しいも分からないまま意識を亡くした事をおもいだし、そこで親友が居ないと気が付いた。
    「伏黒!」
    「大丈夫、恵なら今ちゃんと稽古をしてるよ」
    ギシッとベッドが軋むと、ふわりと暖かい温もりに抱きしめられた。
    「傷は痛くない? 包帯変えようか?」
    よしよしと頭を撫でられて悠仁は瞳を大きく開いて固まる。優しく撫でられるのは何時ぶりだろうか…大好きな母親が手伝いや勉強を頑張れば褒めてくれた。悪い事をして怒った後に謝れば優しく抱きしめてくれた。あの温もりはもう無いのだと気が付くと視界が揺れる。
    「っぅ……」
    悠仁は訳も分からないまま目の前の男にしがみついた。
    そしてその頬が濡れ始める。
    「大丈夫だよ」
    見知らぬ大人の胸に顔を押し付けて、声をころしてなく。そんな幼い子供を五条は優しく抱きしめれば、己の服を掴む手に力が入るのを感じる。
    ただ何も言わないで五条は悠仁を抱きとめるのだった。
    「落ち着いたら食事にしようね♡」
    子供をあやす様に優しく言えば悠仁は小さく頷いた。
    「色々聞きたいこともあるだろうし」
    その言葉に悠仁は顔を上げる、泣き腫れた目元が痛々しくて、まだ涙が滲むそこに優しく唇を押し付ける。
    「あっ…」
    「可愛い♡ 僕の運命の子」
    にこりと笑う五条に少しだけ悠仁の頬に赤みがさのだった。

    「虎杖…」
    「伏黒」
    大切な親友に呼ばれて、五条に手当てしてもらい終えた悠仁は嬉しそうに顔を上げた。
    側にやって来た伏黒に悠仁は笑顔を見せると彼は安心したように、小さく微笑んだ。
    「感動のご対面だけど僕より仲良くなるのはげせないな」
    「うわぁ! お兄さん?」
    「そうだ… 自己紹介がまだだったね」
    五条は悠仁を見つめて口元を優しく歪まさせると、優しい声色で悠仁に話しかける。
    「五条悟だよ… 悠仁の国と敵対してる国の先読みをしてる」
    「虎杖悠仁っす…」
    「五条さんが俺達を助けてくれた」
    伏黒の言葉に悠仁は五条と呼ばれた彼を見上げる。
    「少し遅かったけどね…」
    悠仁の頬に手を添えれば悠仁が無意識に擦り寄って来たので、五条はその目元を優しく指で撫でてやる。
    「とりあえず、悠仁は早く体を治そうか?」
    「おう…」
    まだあまり知らない大人の五条に悠仁は安心感をおぼえて知らぬ間に体を寄せた。五条も何も言わないで頭を撫でてくれ抱き寄せられた。
    「食事をしながら話そうか? 悠仁の事、そして今から君達がやるべき事をね」

    寝室から出て大きな部屋に通されるとテーブルの上には美味しそうな食事が並んでいた。悠仁は五条の横に座らされると目の前のご馳走に目を見張る。
    「食べ切れるん?」
    粥に肉まん、蒸しパンに豪華なおかずに目を輝かずものの、量は余りにも多くて悠仁は固まる。
    「それが食べ切れちゃうだよね♡」
    五条の言葉に悠仁は半信半疑で食事を始めたのだが、目の前の食事が五条の胃袋の中に消えて行き、大食いの自分でさえも固まる。
    「何処に入るん? 五条さんの腹って宇宙と繋がってんの?」
    「先読みに体力がいるからね♡ 甘いものだともっと食べれるよ♡」
    「じゃ今度が何か作っていい? 助けて貰ったお返しに」
    悠仁が少し照れながら五条を見つめると筋張った指が悠仁の頬を撫でた。
    「いいね… 何作って貰おうかな?」
    優しく微笑まれて悠仁は更に頬を赤くすると隣から伏黒が咳払いする。
    「出来れば俺の見えないところでやって貰えませんか?」
    「うぉ! わりぃ伏黒」
    「ふっふふ… 恵には早かったかな?」
    「ガキ扱いしないで下さい」
    揶揄って来る五条に伏黒はつまらなそうに答えるが、五条は楽しげに二人を見つめる。
    「僕からしたら子供だよね」
    「それは…」
    「そうだよな…」
    少ししゅんとなる二人に五条は驚きながら見つめる。
    「どうかした?」
    「子供の俺達じゃなにも出来ないと」
    「村の皆の仇とりたい…」
    二人で手を握り込むと俯いていると五条はクスリと笑い、目の前の蒸しパンに齧り付く。
    「そこは任せなよ… 僕にとってもいい案があるからね。 とりあえずは、君たちが強くならないと話にならないよ」
    五条に言われて二人は顔を見合わせて頷く。
    「だから悠仁と恵にはこの国で兵士の特訓を受けてもらいます! 無論、国王の許可必要だからそこは頑張ってね」
    パチンと手を叩いてウインクをする五条に二人少し顔を青くするのだった。

    ◇ ◇ ◇

    五条に連れてこられた場所はこの国の主が政を行う所だ。少し怯えながら悠仁と伏黒は前を歩く五条にはぐれないように着いていく。
    「五条さん? 俺ら大丈夫?」
    「僕といるから大丈夫だよ♡ なんたって僕は彼のお気に入りだからね」
    五条が歩く度に擦れ違うものが頭を下げる、それにも驚きだが誰も悠仁と伏黒を見てなにも言わない。それどころか伏黒に注がれる視線は何処か期待に満ち溢れていた。
    「伏黒ってなんかあったん?」
    「悠仁が寝ている間に、恵が隣国の王子になってるからね」
    「えっ?」
    五条の言葉に悠仁は驚いて伏黒を見つめると、彼は嫌そうに舌打ちをしていた。
    「悠仁がいきているのは宿儺にバレてはいるが、向こうに悠仁の詳細はバレていない」
    「??」
    「だから恵は影武者ってところかな」
    その言葉に悠仁の動きを止めると五条が振り返ると何処か冷たい青い目が二人を見つめる。
    「これは二人が強くなる上で必要な事だよ、恵は承諾済みだしね」
    「そんな…危ない事」
    「俺は、村の奴らの復讐できるならなんでもいい」
    「……………」
    伏黒の言葉には五条も少し押し黙るのだった。

    謁見する為に連れてこられた部屋で五条と共に頭を下げた状態で待って居ると、階段の上にある椅子に誰かが座る音がして悠仁は唾を飲み込んだ。
    肌で感じる何かがピリピリして痛い、正直怖いと思い掌を握りしめた。
    「表を上げよ」
    その言葉に悠仁を初め三人は顔を上げる、雰囲気とは裏腹に目の前の男はにこやかに笑っているが、その目はまるで悠仁と伏黒を見定めるように鋭がった。
    「お前が連れて来た者たちはこれか?」
    「そうだよ♡」
    王でもある男性に軽口を叩く五条に悠仁と伏黒は驚いて其方を見つめる。しかし五条は体制を変えて腕を組みふんぞり返ると自分よりも位の高い男性を軽くあしらう。
    「虎杖悠仁と伏黒恵… 僕の先読みでは隣国の王座に座る者だよ」
    その言葉に王が悠仁を見て目を細め、そして指を指す。
    「えっ?」
    その行動に咄嗟に悠仁の口から声が漏れ、そこを見つめる。
    「まるで瓜二つだか、こうも違うか」
    その言葉に悠仁は首を傾げて五条を見つめると五条はクスリと笑い、悠仁に微笑みかける。
    「まるで王族の血筋を感じさせんな…」
    先程まで感じていた空気のざわつきが止むと、王座に座る男は身に纏う殺気を解いた。
    その瞬間、伏黒が息を吐き出して力を抜いた。
    「伏黒?」
    「我の殺気に耐えるとは…」
    「凄いでしょう♡ 僕の秘蔵の子」
    五条は悠仁を胸に抱きしめると嬉しそうに王に笑いかける。
    「奪わない様にね」
    「……お前の様な趣味はして居らぬは…」
    五条の言葉に呆れた彼は興味が無さそうに溜息を着いて、話を本題に戻す。
    「さて、虎杖悠仁よ…」
    その言葉に悠仁が五条の胸の中から王座を見上げれば、彼は悠仁の目をまっすぐ見て話しかけてくる。
    「お前にはあの国の王になる未来があるが、その座に着く気はあるのか?」
    「……わからんけど」
    「…………」
    悠仁の言葉にその場に居たものが凍り付き、五条もくすりと笑っている。
    「はっきり言って…あっ申し上げますと? であってる?」
    敬語など上手く使えなくて悠仁はおろおろしながら五条を見つめると、今度は周りが吹き出した。
    「構わぬ、そのまま話せ。五条よ二人の教育を怠るな」
    「それって別料金?」
    五条の言葉に王は額を抑えて手を振っていた。
    「話を逸らすな…」
    「だって悠仁、続けな」
    その言葉に悠仁は頷いて口を開いた。
    「今更、王座とか王様とか言われてもピンとしねぇ…ただ、俺の家族を殺したやつは許さね」
    「…………」
    「兄だか弟とか知らん… 絶対に泣かしてやる」
    「泣かすか… あの冷酷な者を」
    「そこから引きずり下ろして泣かしてやる」
    悠仁の強い瞳に王が少し楽しげに微笑んだ。
    「引きずり下ろして、お前はその後その国をどうする? 幼稚な考えながら私が取って代わるかもしれぬぞ」
    「………そうなったら」
    悠仁はにがりと笑い前を見すえた。
    「王様に譲っても構わんよ!」
    「……なぜ?」
    その言葉に悠仁は頬をかきながら笑う。花がまうような笑顔はとても可愛らしいものだった。
    「だってこの国の皆笑顔じゃん…それに楽しそうにしてた」
    「………」
    「俺たちの国は都も… 皆辛そうだったから、国が幸せならなんだって誰だって良くない?」
    悠仁の言葉に彼は大きな声で笑い出した。それに悠仁も伏黒も驚いて固まる。
    「面白い! 少しの間様子を見てやろう、伏黒とやら彼を殺すなよ」
    「はい…」
    「そしてそれには自分も生き抜き見守ると云う意味がある事も忘れてはならぬ」
    その言葉に伏黒は頷いて悠仁を見つめる、悠仁ははにかみながら伏黒を見返すと
    「二人で強くなろうな!」
    と楽しげに伝えるのだった。


    師匠をつけてやると王に言われた悠仁と伏黒は、案内されるままに道場に連れてこられた。
    「こちらでお待ちを…」
    ぺこりと頭を下げた者はそのまま来た道を戻って行く。壁には沢山の武器が並んでいてそれに悠仁は目を見張る。
    「すげー! かっけぇ!」
    「………」
    悠仁の言葉に伏黒は黙り込むと手を伸ばして手近な刀に触れて握り直す。
    「触って大丈夫か?」
    「きっと君がそれに呼ばれたんだよ…伏黒恵君」
    その声に二人が振り返ると優しい笑顔でこちらを見詰めてくる青年に驚いた。だれかが近づいてくる気配は全くなくて、何時からそこに居たのかも分からない。
    「初めまして、私は夏油傑…この国で武闘を教えてるものだよ」
    長い黒髪のサイドを後ろで束ね、すらっとした聴診の男は何処か怪しい笑みで二人を見つめる。
    「武器に呼ばれなかったとう事は君は多分私がおしえるよりも」
    「僕が向いているって事だね悠仁」
    夏油と名乗った男の傍から聞きなれた声の男性が現れて悠仁は固まる。
    「五条さん?」
    「そうだね、本来の僕だね」
    いつもとは違う短い髪に、色のついた眼鏡を掛けて服も動きやすいような服に着替えて立っていた。
    「五条さん!」
    悠仁は飼い主を見つけた犬のように五条に飛び付くと、五条はそれを受け止めた。
    「悠仁?」
    「五条さんが見てくんの?」
    「そうだよ」
    悠仁を抱きとめながら五条はその柔いピンクアッシュを撫でた。可愛らしい行動に五条は微笑むと悠仁を見つめる。
    「僕がいいんだ?」
    「おう! 五条さんが教えてくれんなら五条先生って呼んでいい?」
    「いいよ」
    悠仁の懐き方に夏油は少し呆れながら二人を見つめていると、伏黒がため息をついた。
    「虎杖… 1度離れろ」
    「あっ… そっかそっか」
    少し寂しげに項垂れながら離れる悠仁を五条の方が抱き寄せる。
    「大丈夫だよ、寂しい時な言いな」
    甘く優しい声は悠仁を安心させてくれて戸惑いながらも頷いた。
    「さて、稽古としようか? 僕、体術も最強だから手加減しないよ」
    「おう! 絶対に負けねぇし!」
    「いいね! じゃ悠仁の実力見せてもらおうか?」
    その言葉に悠仁にこりと笑い、嬉しそうに肩を回しながら五条と距離をとる。五条も楽しげに笑うと構えもしないで悠仁を見つめる。
    「えっ? 構えんの?」
    「うん♡ そんな事しなくても悠仁は僕を倒せないし、触れれないから♡」
    その言われて悠仁の眉間に皺がよるとグッと拳に力を込めて恨めしそう五条を睨む。
    「絶対に一発食らわしてやる!」
    悠仁は五条を見つめて少し足を横に滑らす、そのタイミングで五条は手の指を曲げておいでと合図するので悠仁は勢い良く床を蹴り走り出すと、五条に向けて腕を伸ばしたが、五条はそれをひらりとかわしてくすりと笑う。
    「直球勝負過ぎない?」
    「うん…知ってる」
    にかりと笑いながら伸ばした手を曲げて肘を思い切りぶつけうとするも、その肘を五条に捕らわれそのまま上に上げられて体制を崩しかけるが、少し浮いた状態から反対の足を伸ばして蹴りを入れようとすれば、その足を掴まれた。
    「反発力は凄いけど、分かりやすいよ」
    「うわぁぁぁ!」
    掴まれていない足をはらわれて悠仁は背中から床に落ちると
    「ぐへぇ!」
    とカエルが潰れたような声を漏らした。
    「全然ダメだよ悠仁君」
    「っぅ……」
    倒れた悠仁に顔を近づけて微笑む五条を涙目で睨むと、青い綺麗な瞳が楽しげに揺れているので、悠仁は五条の服の襟を掴むと思いっきり額をぶつけようとするが、思いっきりデコピンされてしまう。
    「てぇ……」
    勢いのあるそれに悠仁は額を抑えて今度は本格的にふてた様に唇を尖らせた。
    「もう少し考えて動きな」
    「………うっす」
    「さぁて次は恵みだね… 傑を相手にどこまでやれるかな?」
    五条は悠仁を起こすと二人で横にずれるのだった。


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