『つばめくんと夏祭り』「…嘘でしょ…?」
目の前には、自分の置かれた状況がわかっているようで、全然わかっていないであろう小さな王子様がちょこんと座っていた。
「もず…?おなかでもいたいのかい…?」
「…………。」
王子様の過保護な心配も、今は右から左。よりにもよってまさか今日こうなるとは…。数日前の自分に向けて、大きく溜息をついた。
今日から3日間、CAGEからそう遠くない場所で夏祭りが開かれる。慈悲深い司令曰くトリ達への労いだと、祭りに出かけることを許されていた。流石に迎撃部隊全員同時は敵襲等何かあった時に対応ができないため、数組に分かれてという条件付きだが。
…で、一応私達に割り当てられたのが今日だったわけだ。あの王子様がさぞ浮き足立っているはずのこの日に、彼女はまさかのストレスカンストでこの有様。状況がやはりよくわかっていない小さな王子様を摘み上げ、とりあえず食堂に向かった。
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