傷物ここは魔界の国の城、今日もいつものように魔王のお茶会が行われていた。魔王のメアのティーカップにお茶を注いでいる側近のズィーガが、次は自分のティーカップにもお茶を入れようとしていたのだが…
「おや?」
ズィーガの使っているティーカップには少し欠けている部分が見つかりそこからヒビも入っている。
「随分長く使用しておりましたが、そろそろ手放す頃合いですか…」
ズィーガは少し寂しそうな顔をした。思えば、先代の魔王であるノキアが聖界の文化に興味を持った時に、ズィーガと情報共有をするために、このお茶会をするようになり、初めてお茶会をした時からずっと使っていたティーカップであったのだ。ズィーガが他のティーカップを用意し、お茶を注ぐと、メアは先程のヒビの入ったティーカップを目にした。
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