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    挑戦開始

    勝利条件『生命活動を維持する』
    残り時間 119:59.99

    よくある秘境内。その中央に位置する、よくある鍵に触れた張本人であるガイアは、空間上に現れたよくある文字を見上げた。ふむ、よくある文字だ。内容もよくある…いやないな。初めて見た。
    やはり旅人について行くと面白いものに会える。しかし秘境を発見した旅人、以下親友はこの場にはいない。先鋒役としてガイアが秘境内に入った途端、入り口が消滅したのだ。残念。そういう訳でここにはガイアしかいない。あいつは責任感が強いから今頃心配していることだろう。
    親友の為にも早く脱出したいが、条件的に2時間も掛かるのか。長いな。それにこの勝利条件、色々とざっくりしすぎじゃあないか。

    ゴゴゴ……

    挑戦開始から2秒後、地響きが鳴り響いた。何かがやって来るみたいだ。おそらく今ガイアが立っている場所に。2秒の間にあれこれ考えていたガイアは急いで端に移動し、剣を装備して警戒体制をとった。地響きにより砂埃が舞う。
    ?いや違う。湿っぽさのあるこれは…蒸気?
    ずっちゃ、じゅっちょ。と粘り気のある音が中央から聞こえてきた。
    目をこらすと、赤ピンク色のなにかがうねっているのが見えた。でかい。例えるなら急凍樹とか、爆炎樹とか、形状はそれらと一致している。花の中心部分には…なんだ?遠くからではよく見えないが、穴。茎に繋がる穴が見えた。根は床を突き破っている。おそらく移動は不可。ナニカは全て触手だけで構成されていた。一言で言えば気持ち悪い…。植物というか、色も相まって肉肉しい。そいつは触手から粘液を垂らして花らしき面をガイアに向けた。
    対象の認識。
    すぐさまガイアの方へと触手が振り落とされた。視察に夢中だったが済んでのところで回避したガイアの横からドシン!と重量感のある触手が倒れ込んだ。それはすぐに引っ込もうとずるずる粘液を引きずった。が、ガイアは腕を振り上げそれを切り落とした。感触が生肉のように厚い。生理的にキツい。びちゃり、と先の部分が落ちた。一部が無くなった触手は痛そうなそぶりも見せず本体へと戻っていった。痛覚は無いのか…いや、そもそも攻撃が効いていない…?
    床に落ちた小さな触手は消滅せずびちびちと蠢き魚のように飛び跳ねている。吐き気が込み上げてきた。
    それはどうやらガイアの方に向かってきているらしい。根気強いのはいいことだな。大人しくしやがれ。加えて本体から伸びてくる次の触手からも逃げなければならない。このまま無闇に斬るのは得策ではないようだ。とりあえず逃げに徹して、敵の行動を見極める。弱点を探し出し、隙を見てそこを突く。これでいこう。



    残り時間 102:50.79

    …あつい。もう霧は薄れているが、触手が放つ熱気が秘境内の湿度を上昇させている。ずっと走り回っているのもあって汗が止まらない。終わったら親友の所で風呂でも借りよう。どうせなら親友も誘って一緒に入るのもいいかもな。また身体洗ってやろうか?と聞いたらきっと嫌がるだろう。子供扱いしないでよ。って。顔を赤くするんだ。ガイアの口から笑みが溢れる。旅人を揶揄うのは最高に面白い。ああ、早く終わらないかな。時間まで逃げ続けるのはつまらない。
    もう、戦う意志はガイアには無くなった。
    結論から言うと、この触手花を倒すことは不可能だ。弱点らしいものはなし。元素無効。物理無効。根元は硬すぎて切断不可能。本体に近づいてみて分かったが、触手にも細いものや太いもの、凹凸の付いたものなど種類がある。それに、花弁の表面についた大量の細かい突起と、全てを飲み込まんとするあの不気味な収縮。そこから涎のような粘液がガイアの元へ落ちようとして…もう2度と花には近づかないと誓った。
    そもそも、ここから出る条件は生命活動を維持すること。ガイアが生きてさえいればいい訳だ。なにもこの気色悪い触手花を倒せとは提示されていない。だからガイアは端の方で延々と触手から逃げ続けることにした。普段から鍛えているガイアにとって、このくらい苦ではない。ただ少し暑いだけだ。暑いだけ。
    「ふ…」
    馬鹿の一つ覚えみたいに叩きつける触手を避ける。知能が低いなこいつ。生成されてから時間も経っているし、何か変化が欲しい所だが。ずるずると本体へと戻って行く触手が寂しそうにしている気がした。迷子みたいな…。そうして見るとなんだか可哀想に思えてきた。こちらを探すように花を振り回していたり、粘液を垂らしている姿が泣いているようにも見える。少し考えれば捕まえる手段なんていくつもありそうなのに。考える余裕もないほど必死なのか?仕方ないな。ほら、ここで待っててやるからしっかり狙っ、て…?
    今、何を考えて。
    そういえば、首元があったかいような。そういえば、最初に切り落としたあの触手はどこに
    「ぁ…あっ…?」
    ぬめりと、耳が濡れていた。いつの間にかガイアの首元に居座っていた触手が、ミリ単位まで細い形状の触手に変形してガイアの両耳へと侵入していた。それは神経を通って脳の前の方とか…後ろの方とかにくっついて動き回り、ガイアの思考判断能力を狂わせた。ついでに感覚も。強制的な快楽が一瞬で全身に響き渡った。
    気付けばガイアは床に崩れ落ちていて、それでも触手をなんとかするために手を動かそうとした。
    「あ♡っあ?、やめ♡ぁ、あっ♡っ♡」
    しかし脳を触手に支配された体は満足に動かせなかった。汗やら鼻水やら涎やらを垂らしながら強制的な快楽に身を震わせることしかできない。上をむいていた視界に例の触手花が写った。いつものように触手をこちらに振り落とそうとしている。まずい、逃げないと。逃げ。
    「〜っあ♡ふ、あっ♡ぁ、」
    無理だ。
    気持ちいい。逃げないと。きもちいい。潰される。動かない。ぐちゃぐちゃ。落ちてくる。落ちて。

    ズドンッッ

    衝撃で耳から触手が抜け落ちた。一瞬の快楽の後、鈍く重い痛みが腹に伸し掛かる。体が飛び跳ね、潰された腹の中身が逆流してごぷりとガイアの口や鼻から勢いよく噴射された。汚い。触手に支配されていたところを触手に助けられたお礼を言う暇もなく、痛みに喘ぐ暇もなく、ガイアの腹は触手にぐるぐる巻きにされた。ギチギチと締め付ける力が強くて痛い。そのまま引きずられて、本体の元へ。
    「ぎぇっ…くそ、うぶっ…ひ、ぃだ、ぃ…はなせ、このっ…!」
    正気に戻ったガイアはなんとか抜け出そうと触手を掴んで離そうとした。しかし粘液で滑ってうまく掴めない。感触もぶにぶにしてて気持ち悪い。痛い。焦って必死に体を動かすが無意味。虚ろになったガイアの瞳から涙が溢れようとしていた。
    本体の元へ連れて行かれたガイアの体には様々な触手が品定めをするかのように絡みついた。触り方が厭らしいのはきっと気のせいじゃない。腹部の拘束が緩み、両腕と両足に巻き付いた触手に支えられた。不安定極まりないが今のガイアではどうすることもできない。あついし、身体中がベトベトだ。
    「くそ…ん…んぇ…なんだ、やめ、ん!んぐ…っ、ふ、ん〜ッ…!」
    ゲロまみれの唇に割り込んでくるように触手が口内にも侵入してきた。そいつは止まることを知らないかのように喉の奥まで突き進む。苦しい。抜こうとガイアは後ろに下がろうとするが当然触手に固定されて動けなかった。ずりずりと咥内に粘液を擦り付けてきて吐き気がする。もう吐いたけど。
    四肢もいい様に弄ばれてまるで玩具だ。例えば右腕の方とか。曲げたり伸ばしたり、他は撫でているだけなのに。今だってほら、伸ばした腕を肘を折り目に外側に…。
    外側に?
    「ん…!!?ん、んッ…!!」
    ぐぐっ、ぐぐっと腕が押される。外側に。ふざけるな。曲がるわけない!しかし触手は止まってくれない。ガイアの顔はサッと青ざめ冷や汗が垂れた。息が乱れる。思わず目をぎゅっと閉じて口内の触手を噛み締めた。特に反応はない。反発力があって噛み締め辛かった。顎が疲れる。そんなことはどうでもいいのだが。
    右腕から顔を背けてできる限り体を丸める。どうせ痛いなら力を抜いた方がいいだろうに。そんな余裕はガイアには無かった。ぎしっ、と骨が軋む。いたい。痛い痛い痛い痛い!!

    バキッッ

    「んーーッッ!!!!!!」
    暴れ出そうとするガイアの体を触手が力強く押さえつけた。脊椎反射でばたばたと勝手に残りの手足が動き、背中が浮く。ぼろぼろと涙が溢れ落ち、頭を振りかぶった。おそらくガイア史上最大の大声は触手によって最小限に抑えられた。
    「ん…ッ…ーー……ん、く…っ…」
    噛みちぎらんばかりに噛み締めていた触手からどろっとした何かが出てきていた。ショックで放心状態のガイアは何も考えずに量の多いそれを飲み込んだ。ほんのり苦い。
    肘から手にかけての感覚がほとんどない。暫く剣は握れそうにないな。じーんと鋭い痛みが響く。腕が折れるなんて職業上特別初めてではないが、不慮の事故で折れるのとは訳が違う。意図的に、折れると分かっていて折られるのだ。しかも謎の化け物に。さすがの騎兵隊長でも怖くないわけがない。
    「ー…はぁッ…っぇ、げほっ…ひぐ……はぁーッ…はぁー…」
    がぽっ、と全て出し切ったらしい触手が口内から出ていった。触手に纏わり付いた唾液がぷつりと切れた。激しい呼吸と共にガイアの胸が上下する。そこに纏っている筈の布は既にはだけており、粘液で艶めいた乳首が露わにされていた。ふたつの触手が伸びてきてガイアの胸を撫で回す。それだけでガイアはぴくりと体を跳ねさせた。まだ続くのか。一体いつまで…そうだ。
    残り時間は後いくつだ?視線を動かして触手だらけの隙間からあの文字を探し出す。

    残り時間 61:26.48

    「…うそ…」
    か細い声が漏れる。ガイアの体内時計ではもう2時間経っていてもおかしくなかったが、現実はそう甘くなかったらしい。
    ここまで来て、やっと半分なのか。
    これは、このままでは冗談抜きで死んでしまうかもしれない。内臓はどこが壊れていてもおかしくないし、利き腕も折れた。ただでさえ満身創痍なんだ。後1時間も耐えられる気がしない。
    …でも、親友をほったらかしにするのも忍びない。待ってるだろうし。
    あと1時間、死ななければいいだけ。
    まあ…なんとかなるだろ。
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