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    ゴミ箱

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    ゴミ箱

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    最近、ホシノの様子がおかしい。
    距離が近くなった、というか、一緒にいる時間が長くなった、というか…。見かけ上はのんびりほわほわしているいつものホシノだが、どこか裏があるような雰囲気が感じ取れるのだ。モモトークでは毎日連絡を取るようになった。対策委員会がどーのこーの、魚がどーのこーの、他愛もない雑談なのだが。その後に毎回、そっちの方はどうだったのか聞いてくる。今日は何をしていたのか、危険な目に合っていないか、どんな生徒に会ったのか。事細かに。
    ホシノが当番の日は、常にくっついてくるようになった。事務仕事が多いのでシャーレに出ることは少ないのだが、強いて言えばパトロールの時。生徒達と会った時のホシノは、戦闘ド素人の人から見ても分かるほど警戒心が滲み出ている…気がする。一歩間違えればすぐ発砲してきそうなオーラを感じる。普段は全然、そんなことはないのに。
    休憩しよう、ということになってトイレに行こうとしたら、ホシノまで男子トイレに入ろうとしてきた時は流石に驚いた。聞くと、いつどこで襲撃されるか分からないし、一瞬でも隙を見せたら終わりだから、とのこと。終わりってなんだ?と思いつつなんとかホシノを説得して男子トイレに入ることを阻止できた。口癖であるうへーが無いマジトーンだったのでかなり戦慄したのを覚えている。
    と、こんな感じで。非常に先生のことを気にかけてくるようになった。お陰様でホシノがいない日でも、ホシノの視線を感じながら毎日を過ごしている。まるで監視されているみたいだ。

    「先生、今なに考えてるのー」

    ホシノのことだよ。隠すようなことでもないので正直に言う。うへー、と照れているような声が隣から聞こえた。今日の当番はホシノ。さっきまでソファで寝ている筈だったのだが、いつの間にか真隣に来ていた。

    「ね、せんせ、ちょっと頼みがあってさ」

    ホシノの方を見る。椅子に座っているので若干ホシノを見上げる形になった。話を促すと、言いにくいことなのか、もじもじ身体を揺らしながら手を後ろに組んだ。目線は床に落とされる。

    「当番って、先生が決めてるんだよね」

    うん

    「当番をおじさんだけにするのって、できないかな」

    ちら、とホシノがこちらを見る。不安と期待が籠った眼差し。確かに当番は自由に決めることができるが、生徒の事情や平等性を考えて決めている。1人に偏ってしまうのは可能な限り避けたい。が、とりあえずホシノに理由を聞くことにした。

    「だって、その方が効率的でしょ?生徒一人一人に頼むよりもさ。おじさんなら事務仕事もそれなりにできるし、襲撃されても、先生を守るためなら死ぬ気で」

    ほ、ホシノ、気持ちは嬉しいんだけど…。と、なんだかよくない方向にホシノが考えを巡らせ始めたので、早々に話を中断させた。理由はともかく、一緒にいる時間を増やしたいのだろう。その気持ちは本当に、本当に嬉しい。しかし先生という立場として、1人の生徒に固執してしまうのは許されない。あくまでも平等に生徒と接したい。それに、ホシノにも学校がある。アビドスのために、やることがあるはず。その旨を伝え、心配しなくてもいいとホシノを安心させる。つもりが、どうやら逆効果になってしまったようだ。ホシノは取り乱した様子で、「先生は分かってない!」と言い放った。
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