シンパパ洋と三と娘ちゃん(過去〜再会)懐かしい夢をみた。
それは高校一年の終わり、その年は例年よりも寒く卒業を祝うはずの桜は綻びもせず殻に篭ったままだった。
卒業生の門出に花を添えるのは一年の仕事だろう! と背中を叩かれ寒空の下に放り出され、水戸は悴む手を擦りながら校門の前で彼らの胸元に花を咲かせる。
なぜこんな寒い日に面倒な仕事をさせられているのかといえば理由は実に単純で、ぎりぎり危うい単位分きっちり働けと最後の最後で進級を盾に押し付けられてしまったわけだ。
「ごそつぎょーおめでとーございまーす」
気の抜けるような挨拶をしながら彼らの胸に花をつけていけば、皆が《なぜここに一年の不良が》という顔をして目も合わせずにそそくさと立ち去っていく。
まあ他学年からすればどう考えても不良生徒の筆頭だしとっつきにくさはあるだろう。話しかけてくるやつなんて大体は同類のようなやつばかりで……
10315