Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    iorishin

    @iorishin

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 28

    iorishin

    ☆quiet follow

    坂高(天高)のプロット7話。
    この話のサビ。ターニングポイントらしき地点。
    (伏線回収の回なので、前回読んでない方はどうか先に読んでいただきたくー)いきなりここを読むと意味がわかりませんネ!なんかウキウキしながら書きました。特異点のサカリョと天が大活躍。捏造しかありませんのでどうぞご注意を。

    天地神明に誓う 7(仮タイトル)「魔術儀式」
    ーーーーーーー
    江戸特異点 
    高杉が召喚されて
    2日目の午後。

    武市と、江戸城下町の長屋にて
    会談を終えー

    高杉と(特異点における)龍馬は
    拠点の宿に戻ってきた。

    ーーーーーーー
    高杉
    「くそっ!」
    (怒りを隠さない高杉)

    「武市め…!」

    「あいつ、全く遊びがない」
    「相変わらず、つまらん男だな」
    (高杉、頬杖ついて不貞腐れ、不満げな姿)

    龍馬
    「そう言わないであげて 高杉さん」

    「武市さんは
    国の事を思うあまり、いつも真剣なんだよ」
    (苦笑する龍馬)
    ーーーーーーーーー

    江戸城会談への準備・手筈を整える話は
    龍馬にあらかじめ説明を受けていた
    内容の確認のみとなり、

    その後、
    維新が成った際の
    国の行く末を語りあう段になったがー

    高杉の立案は ものの見事、武市に却下された。

    ーーーーーーーーー
    高杉
    「神を創る計画ー。
    こんな面白い立案を
     一笑に伏すとかな!

    …ふん、別に武市と組まなくたって
    実行は出来る」
    「ー今に見てろよ」
    (そっぽを向いて、拗ねたように愚痴を言う)

    龍馬
    「僕は面白いと思ったよ、
     高杉さんの案」

    高杉
    「!」

    「そうだろう!
    話が分かるじゃぁないか 坂本君!」
    (瞳を輝かせて食いつく)

    龍馬
    「うん、何ならー」

    「僕が協力させてもらってもいいよ」
    「その案」

    高杉
    「!!」
    (順調に行きすぎる流れに、
    逆に違和感を持つ高杉)

    「…こんなにあっさりと
    君が協力してくれるなんて……。
    逆に胡散臭いな」

    (じとりとした目で龍馬を睨む)

    「ー坂本くん」

    「もしや君、
    何か裏で企ててることが
    あるんじゃないかい?」

    (不信の眼差し)

    坂本
    「うん?」 

    (不意を突かれ、
    ポカンとした顔を見せる龍馬)

    (苦笑し)

    「高杉さんには敵わんな」


    (ニコリと微笑んだ)

    「ーまぁね?」


    高杉
    「おい!!!」

    「そこは否定するとこだろう!!
    坂本くん!」
    「何か企んでるのかよ!」

    (呆れ顔の高杉)

    高杉
    「最初から君、
    ずっと胡散臭い顔で笑っていたから
    何かあるな、とは思っていたがー」

    「そんなんでいいのか?」
    「黒幕は 最後に企みを明かすもんだろ?」

    龍馬
    「まぁ、高杉さんだからね」

    「半分くらいは話してもいいかなって」


    「面白い話はー好きだろう?」


    高杉
    「半分かよ」


    「ハァ、まぁいい。
    ここまで来たら 乗りかかった船だ」

    「ー君の「おもしろ」立案というのを
    聞かせてもらおうじゃないか」


    「…武市には、内緒でな」
    (ニヤと 悪戯げに含み笑いをする)


    苦笑する龍馬
    「確かに、まだ武市さんには言っていない」

    「ーいや、言えないが正解だ」


    高杉
    「なんだよ、武市に言えないこととか!
    面白い予感しかしないぞ?」
    (ニコニコして 食いつく高杉)


    (真剣な顔の龍馬)
    龍馬
    「武市さんには 悪いがー」

    「聖杯は僕がもらう」


    高杉
    「は?」


    「ーおいおい、二重に裏切る気か?」
    (キョトンとして)

    「意外だな、坂本君が武市を裏切るなんて」

    「まぁ想定していなかった訳ではないがー」

    「聖杯戦争なんて、
    裏切りのオンパレードだからな。」

    「だが、あの坂本龍馬だぞ?
    おかしいだろ」

    「「いつもみんなで仲良く」がモットーの
    坂本君が ここまで仲間を裏切って」

    「そこまでして、成し遂げたいものって
    何なんだい」

    (目を細め、薄く笑い 問いかける)

    「ー真の日本の夜明け?
    果たせなかった志?」

    「普段、無欲な君が
    「聖杯を奪ってすら」成したい事なんてー」

    「いかにも、ー面白そうじゃないか」
    (複雑そうな表情で目をすがめ、見据える)


    「俄然、興味が湧いてきたね」
    (内心物凄く気になってるが、
    表に出さないよう 余裕ぶった態度を見せている)

    高杉
    「ーなぁ、坂本くん?」

    「君の維新ってやつは、
    一体何なんだい」

    (少し強めの視線)

    「ー半分といわず、しっかり聞かせろよ」
    (ニコニコと笑顔を見せる)

    龍馬「………」
    優しい微笑みを浮かべる
    (腹の内を探られているとわかっているので
    慎重に言葉を選んでいる)

    ※真剣な表情の龍馬

    「わしの維新ーそれは」

    「この、停滞した世界をー」
    「根元から、新しい世界へ創り変える計画だよ」

    (高杉に流し目を送り、告げる)


    高杉
    「根元から?創り変える…?」
    (キョトンとする表情)

    龍馬
    「まずは、昨日話していた
    魔術礼装ー」

    「その成り立ちを説明しようか」

    「こればかりは 見てもらった方が早い」
    「案内するよ」

    ーーー

    坂本龍馬は
    高杉を連れ立って 地下神殿へ足を踏み入れる

    多くの灯火に囲まれ 祀られる、
    魔術礼装たる箱を 見上げる高杉

    ーーー
    「………」
    「この箱こそが、かの魔術礼装ー」

    (見上げる高杉)

    龍馬
    「あぁ、織田信長公の首ー。
    この特異点におけるー」

    「とっておきの切り札さ」

    (龍馬の顔のアップ)

    ーーーーー
    (高杉、アナライズで解析する)
    「うん…どうやら本物のようだ」

    「君達が、自信ありげに
    計画を押し進めるのも理解できる」

    龍馬
    「手に入れるのには、随分苦労したけどね」
    (冗談めかして言う龍馬)

    ーーー
    (高杉の心の内のモノローグ)
    心象風景

    信長公の首ー
    森蘭丸の宝具であったそれは

    魔術礼装として
    この坂本龍馬に奪われた。

    本来の歴史ではここに存在しない首が、
    今この場所にあることで
    「戦国の世の終わり」という
    日本史における分岐点を、狂わせる

    ーーー

    高杉
    「ーつまり、この魔術礼装は
    あらゆる可能性を孕む
    特大の「特異点分岐装置」

    「この強大な魔術礼装を
    僕たちが操るのに必要な
    膨大な魔力リソースは
    これから江戸城の殺し合いで手に入れる
    「聖杯」で補うー と。」

    龍馬
    「そう言う事だね」

     
    (振り返り、急にニッコリする高杉)
    「ーなんだよそれ、
    めちゃくちゃ面白そうなことに
    なってるじゃないか!!」

    「普通揃うか? こんな条件」

    「これならば、あらゆる可能性が実現可能だ」

    「新しい日本の夜明けー。
    神による、真の維新を起こすことだってな!」

    (楽しそうな高杉)


    龍馬
    「あぁ、ここには
    龍と麒麟すら揃ったんだ」

    「維新など、容易く起こせるだろうね」
    (含み笑いをする龍馬)

    高杉
    「……!」
    (龍馬の発言に豆鉄砲を食らったように)

    ※ちょっと怒ったような表情

    「やはり…。いちいち胡散臭いな、君は」
    (※嫌がってるようで照れている)

    龍馬
    「これは心外」(驚いた顔)

    「ー本心だよ」(優しく微笑む)


    高杉
    「…フン」(そっぽを向く)

    ーーーーーー
    高杉
    「ーこの場所は」
    (微妙な空気を変える為、
    話を逸らそうとする)

    「魔術礼装を守る 結界の社であると同時に」

    「各地で集めた魔力を集積し
    この箱へと送り、特異点を固定する
    ーそのための舞台装置、という訳か」

    龍馬
    「高杉さんは いつも物分かりが良くて
    助かるよ」

    ーーーーーー
    龍馬
    「ー実は、もう一つ 切り札があるんだ。」
    (少し悪戯げな顔で)


    (驚く高杉)
    「首と聖杯以外に…。まだあるのかよ!?」

    「何だよそれ?
    チートすぎるだろ君!!」

    「心底、敵には回したくないな…。
     君という奴は」
    (嫌そうな顔をする)

    「あぁ、もしかしてこれフラグか?
    ひょっとして君、敵だったりする?」
    (茶化しつつ、じっと龍馬を見る)

    龍馬
    「ハハハ、高杉さんはいつも面白い事を言うね」

    「ー僕はいつだって 高杉さんの、味方だよ」

    高杉
    「だから!本当に胡散臭いなぁ!
    君という奴は!」

    「そう言うところだぞ! 坂本くん!」

    龍馬
    「ははは、酷いな?」
    「本心だって」
    (笑顔で楽しそうな龍馬)

    ーーーーーーー
    カツン、カツンと

    地下神殿の階段を さらに
    下へ、下へと降りていく2人。

    「切り札」と言うものが
    安置されているらしき場所を目指し、
    長い通路を歩いていく。

    ーーーーーーー

    高杉
    「…………」(微妙な顔をして歩く高杉)

    龍馬
    「おや?」

    「ーどうも辛そうだね、高杉さん」

    高杉
    「絶対分かってて 言ってるよな?」
    (睨みつける高杉)

    「ー君はいいよな!
    訳の分からん 
    神っぽい属性が追加されたから
    坂本くんには 全く影響がないんだろうがー」

    「ここは
    どこもかしこも、神の居場所」

    「神秘の力が満ちていて
    普通の英霊の僕には なかなか居心地が悪いぞ!」

    「君の言う「切り札」とやらがある
    奥の間へと近づくだけで
    どうにもこうにも 体がだるいんだよ!」
    (芝居がかって しんどそうにする高杉)

    龍馬
    「ー大丈夫、最初はきついかもしれないけど
    時間が経てば すぐに慣れるよ」
    (ふふ、と笑う)

    高杉
    「君はまた!! 
    適当なことを言いやがって!」
    (ムカッと怒る高杉)

    龍馬「ははは ごめんごめん」
    (笑いながら謝る龍馬」

    (拗ねる高杉)

    高杉
    「ーさっきも中々だったけど
    更にこれほど、厳重な結界を敷くなんて
    またどんな礼装とかを 隠し持っているんだ?」

    龍馬
    「それは 見てのお楽しみさ」
    (廊下の明かりに照らされながら、
    薄く微笑む)

    ーーーー

    階段と廊下を抜け、
    広がりのある部屋に辿り着く。

    先程と似た雰囲気だが、
    辺りには香がたかれ
    濃い神秘に 包まれた気が漂っている

    ーーーー
    高杉
    「ここがー。
    「もう一つの切り札」がある場所だって?」

    高杉(解析する)
    「先ほどの社と、同じ神秘体系ー」

    「見た目はほぼ同じだが…」

    (目を細め、部屋の中央を見やる高杉)

    ーーー

    沢山の色灯りに照らされ、
    光に透ける薄布が吊るされている。

    舞台の上のような木の台の上に
    色とりどりの織り布や、上質な赤い絹布らしきものが敷きつめられた場所が見える。

    ーーー

    高杉
    「なんだ?これは」 

    「何かの儀式をする…
    舞台?」

    「あるいは、捧げ物を祀るような場所なのか」
    (不審げに辺りを見やる)


    龍馬
    「あぁ、そうだよ」


    「ここはー。」
    ーーーーーーーー

    「…ぐっ…?!」

    (会話の途中、膝を折り、
    突然苦しみだす龍馬)

    ーーーーーーーー

    龍馬の気配が消え、
    闇の気配が満ちる

    ーーーーーーーー

    「!!!」

    (驚く高杉)

    「坂本くん?! どうした!」

    ーーーーーー

    ※吹き出す闇に包まれ、
    龍馬の気配がー
    その「属性」が変わってゆく。

    ーーーーーー

    高杉
    (神性?!だが、これは)


    (坂本龍馬に取り憑いたー闇…!か!)


    ※目をすがめ、
    剣に手を当て警戒する高杉

    ーーーーーー

    ※独り言を言う、坂本

    「ーやはり、神秘の気配が満ちた場所はいい」


    「真の神の力が戻ってくる」



    「ーしばらく、眠っているがいい
     ー坂本龍馬。」

    ーーーーーー

    (明らかに気配が変わった龍馬に対し
    剣を構え、警戒している姿を見せる高杉)

    ーーーーーー

    龍馬の姿の 天逆神
    「ー初めまして、と言っておこうか」


    「ー高杉晋作」

    (皮肉げに嗤う)


    高杉
    「貴様は…あの時の」


    「そうだ」

    「初めまして、と言っても
    ずっとこの男の中で
    貴様を見ていたからな」

    「初対面、という感じはしないな」

    (フン、と余裕のある笑み)


    高杉
    「……!!」(油断せず、警戒を緩めない)



    「高杉、貴様の演奏 
    気に入ったぞ」

    「どうやら上質なー「神楽」を奏でることができるようだ」


    高杉
    「…!!」


    (ますます警戒を強める高杉) 
    「何者だ、貴様はー」


    「軽々しく神の名を告げるものではないがー」

    「盟約者となるお前には
    真名を告げておこうか」


    「我が名は、天逆神
    この世界のー、
    貴様の神となるものだ」


    (ポカンとする高杉)
    高杉
    「この世界の神…?」

    「はは!」

    「これは大きく出たな」


    「しかも、僕の神だって?」


    「そうだ高杉」

    「ー貴様は我が盟約に従い、儀式をー
    取り行った」


    高杉
    「……盟約? 儀式だと?」



    「そうだ。魔術的な 盟約の儀式をな」

    (皮肉に笑う坂本の顔)



    (じり、と剣の間合いを取ろうとする高杉)


    「ーそう気を立てるなよ、高杉」
    (煽るように流し目をする)


    「ーおっと」

    高杉
    (!?)

    天(ニヤリと嗤う)
    「ー足元には、気をつけるんだな」

    ーーー 

    ※間合いを取る為、右足を後ろへ引いた高杉

    (その途端 突然身体に衝撃をうけ、
    ガクンと膝から崩れ落ちそうになる)

    「ーグッ?!」


    (魔力が急速に抜けていく高杉)

    ーーーーー

    気づけば、足元には 光の線が描かれ
    「陣」に足を踏み入れていた

    ーーーーー

    高杉
    (足元のこれはー!
    魔術結界ー!!)

    「チッ!」

    (結界内にある魔力を
    なりふり構わず吸収しているるのか!
    くそっ…!結構洒落にならないぞ)


    高杉
    「おいおい、とんだ おもてなしだな 
    「神様」?」
    「初対面からこれかよ」

    「魔力を奪いー僕を、礼装の生贄にでもする気か?」

    高杉
    「おい、坂本くんを出せよ
    ー色々と、積もる話ができたからな」
    (睨みつける)

    ーーーーー

    「焦るなよ高杉」

    「坂本が眠ってるうちに
    貴様と話をしておきたい」


    「ーどうやら 誤解があるようだがー」
    「「生贄」とは随分酷い言いようだ。
    「盟約者、神に仕える者よ」

    「魔術的には、既に貴様は
    我が巫(かんなぎ)」

    「神に身を捧げる 神聖なる行為を
    「生贄」と称するのは
    いかにも愚かな人間の考えることだ」

    天(邪悪に笑む)
    「ーなに、悪いようにはしない
    少しの間、俺の言うことを聞いてもらうだけだ」


    高杉(強がりながら)
    「神に仕える?… 「巫」(かんなぎ)だと?」
    「どれもこれも 初耳すぎてー
    今すぐ 坂本龍馬を呼び出して
    文句を言ってやりたいところだぞ」


    「これだけの負荷を受けながら
    よく回る口だな」

    「時間稼ぎをした所で
    当分やつは眠りの中だ」

    「それより、わが巫(かんなぎ)、高杉よ」


    「略式とはいえ 魔術的盟約は既になされた」

    (クックッと、いやらしく嗤いながら煽る)
    「ー心当たりは、ないか?」

    高杉
    「全く、覚えがないね」
    (睨みつけながら、苦しげに息をつく)


    「そうか」 

    (意地の悪い笑顔で語る)

    「では、貴様にも
     わかるように 教えてやろう」

    ーーーーーー
    「貴様は儀式を行った」

    ー「御神酒」を酌み交わし、

    ー神楽を「奉納」し、

    言霊による「祈り」を捧げ

    湯で「禊ぎ」をした。



    「これが、「魔術的儀式」でなくて
    何だと言う?」

    (ニヤ、と嗤う 坂本の姿をした男)


    高杉
    「!!?」


    高杉(苦しげにしつつも 強がる)
    「ー坂本くんにしては 随分と意地が悪い策だ。

    「貴様の入れ知恵か?天逆神」


    「はは、そうだ。」

    「確かに、俺が唆したがー
    それに乗ったのは 奴だ」

    「貴様の存在こそが、
    坂本龍馬の計画における 核心ー」

    「奴の言う
    「切り札」と言うやつだからな」


    (ギリ、と悔しさに
    唇を噛み締める高杉)

    ーーーーーー
    (高杉の内心)

    まずいな、
    ここまで お膳立てされていたとはー

    ー負け戦の流れじゃないか

    ーーーーーー
    高杉
    「なるほど、俺はお前らに
    まんまと 踊らされていた、と言うわけか」

    「一つ聞こう」

    「祈り」とはなんだ。
    そんな祈り、捧げた覚え、全く…、ないぞ」
    (険しい顔で睨み上げながら)


    「確かに貴様は捧げた」
    「神への祈りを」

    「いや」

    「……高らかに「唄った」ではないか?」

    「神に自らを「奉納」する、そんな唄を」

    高杉
    「何…?」


    「天に向け、捧げた言葉は確かに受け取った。
    もはや、取り消せん」
    (嘲るように嗤う)


    「ーー貴様は、詠(うた)った」


    「三千世界の鴉を殺してでも」

    「想い人である「俺」とー」
    「朝寝がしたい、と」


    「そら、
    神に 祈りを捧げただろう?」


    「!!?」
    (驚愕に、目を見開く高杉)


    ーーー

    「ここまでの儀式は 完遂されている」

    「後は
    この神殿の結界舞台の中ー
    神にその身を捧げるだけだ」

    高杉
    「!?」
    (苦しげに息をつきながら睨む)


    「貴様の「人間らしい」言葉を使うならば」

    「「神体」と魔力を溶かし合わしー
    「生贄として」その身を捧げるー」

    高杉
    「何、を…?」
    (言っていることが耳に入ってこない様子)


    「フン、鈍いな」
    「まだわからぬか?」

    「では 具体的に 言い直してやろう」


    「貴様はここで俺に足を開きー
    魔力が尽きるまで愛玩される」
    「お望み通り、夜が明けるまでな」

    「その美しい神楽を 
    夜明けまで奏で続けて見せろー」

    「ー小夜啼鳥(さよなきどり)」

    (嘲るように嗤う、天逆神)

    ーーーーーーーー

    (自分が、最初から最後までー
    完全に嵌められたことに気づく高杉)

    ハッと、意識の上に
    あの時の 宿の情景が浮かぶ。 

    龍馬の、どこか思い詰めたような真剣な顔ー


    彼は、全てを知っていてー
    ーそれを実行した。

    入念に準備を重ね、最初から計画を成すため
    こちらへ近づいたのだ。

    高杉晋作を 神への、生贄とするために。

    ーーーーーーーー


    「「ーー坂本、龍馬ッ!!!」」

    (激昂する高杉)

    ーーーーーーー

    自分の読みの甘さと、油断を恥じる。
    いつの間にか、龍馬を信じすぎていた
    自らを悔やむ。

    ーーーーーーー
    ーその刹那、
    呼ばれた「名」に呼応するようにー

    天逆神の 闇を打ち消すように。

    光の柱ー
    神性 が降りる。

    ーーーーーーー

    「何っ?!」

    (龍馬が、身体の主導権を取り戻し
    天は側に追いやられる)

    (険しい表情をする、龍馬)

    「ーあまり余計なことは言うな」
    「天逆神」

    (高杉の方は見ずに、
    天逆神に話しかける龍馬)


    龍馬
    「「彼」を抱くのは、あくまで「僕の」霊基だ」
    「貴様にはー」
    「いや、他のいかなる者であろうと
    指一本、触れさせはしない」

    「忘れるな」
    「貴様にはー 目的のため、
    この身体を 少し 貸してやっているだけだ」

    高杉
    「…!!」

    ーーーーーー

    (※龍馬の言う話を、理解しようとするが
    意味が頭に入ってこない)

    結界に魔力を奪われながらも、
    震える腕で銃を支え、
    龍馬に向け 構える高杉

    ーーーーーー



    「「 坂本ッ!!! 」」
    (激昂し、掠れる声を張り上げる高杉)

    「俺を、ー売ったのか!!?」

    (銃の狙いを定めながら、睨みつける)


    「ー答えろ!!」

    「坂本、龍馬!!!」


    (※力の限り、声を張り上げる)

    ーーーーーー



    龍馬
    「ーーー。」

    (ただ、沈黙を返す龍馬)



    ーーーーーー


    高杉
    「ー策に嵌っただけ、と言うならば
    裏切られた、と言うだけならばー
    まだ許せる」

    「不出来で浅慮な自らを悔いて、
    それで終わりだ」

    「だが、お前は…!!」

    「お前がー。
    お前、こそがー」

    「俺の誇りを 踏み躙り、
    無価値なものとして、売ることだけはー
    ……到底、許しかねる!!!」


    「何とか言ってみろ!!」

    「ー弁明は得意だろう?」




    「「 ーー坂本龍馬!!!! 」」


    (張り裂けんばかりの声で叫ぶ、高杉)


    ーーーーーーー
    「………」
    (龍馬、目を逸らし、長い沈黙)






    龍馬
    「ー高杉さん、ごめん」





    (嘘だろ、という 傷ついた顔の高杉)





    龍馬(髪で表情が見えない)
    「裏切ったつもりは、ないけれどー

    結果的にー」





    「君に……」

    「これから、酷い事をするから」








    「ーごめんね」







    いつもの龍馬の笑顔。

    高杉には、それがー
    とても恐ろしい笑みに見えた。


    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💴💴💴💴💴💴💴💴💴💴👏👏💞💘
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works