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    あーや

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    ぶぜまつのらく描きとらく書き

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    ネタメモをなんとか読める形にしようキャンペーン。現パロです。
    元ネタツイ https://twitter.com/puruaya/status/1357692055024136192

    ##ぶぜまつ

    学パロでリボンを結ぶ話 キーンコーンカーンコーン。
     帰る時間のチャイムが鳴った。
     松井が教科書を鞄に入れて帰る支度をしていると、隣のクラスの豊前が走って松井の席にやってくる。チャイムが鳴り終わるよりも疾かった。さすが陸上部の特待生としてこの高校に入学しただけのことはある。
    「行くぞ!」
     松井が帰り支度を終えたことを確認すると、豊前は松井の手を取り駆け出した。廊下にはまだ他の生徒はおらず、思いっきり走れる。一番乗りで校門を飛び出し、目的の場所を目指す。
     豊前が松井の半歩先を駆ける。松井もそこそこ足が速い方ではあるが、豊前が本気を出したらきっとついていけないだろう。豊前は松井が無理なくついてこれる速さに合わせてくれていた。
     行き先は聞いていたけれど、なぜそこに行くのか松井は知らなかった。「今日の放課後、ここに行きたい」と朝の登校時に豊前から指し示されたのは、手芸屋の店舗位置を示す地図だった。豊前が手芸屋なんて珍しい。買いたいものがあるのだろうけど、こんなに走ってまではやく買いたいものは一体何だろうか。松井は少し楽しみだった。
     目的の店に着くと、豊前は店内をぐるりと見渡し、目的の商品が置いてある棚の場所を探す。豊前のあとを松井もついていった。
     豊前が立ち止まったのは、色とりどりのリボンが並んだ棚の前だった。プレゼントのラッピングにでも使うのだろうか?松井が考えていると、豊前はたくさんの色の中から、迷うことなくひとつの色を手に取った。ロール状に巻かれたリボンを松井の前に差し出し、松井の顔とリボンを見比べるようにしたあと、うんうん、とひとりで納得をした顔でレジへ向かっていった。
     会計を済ませた後、再び手を繋いで連れて行かれたのは、店の男子トイレだった。個室には入らず、洗面台の前で、豊前は松井の制服のネクタイに手をかける。豊前にネクタイを解かれるのは慣れているけれど、こんなところでするのか?と松井が戸惑っているうちにネクタイは取り去られていた。豊前は先程買ったばかりの包みからリボンを取り出して、松井の首元に巻きつけ、意外にも器用に蝶々結びを作った。
    「やっぱり、松井にはこれが似合うな」
     満足そうに頷いたあと、ほら、と松井を洗面台の鏡の前に立たせて、自分の姿を見るように促す。松井は鏡に映った自分の姿を見て、なぜだか懐かしく、しっくりする感じがした。こんなターコイズブルーのリボンをつけたのは初めてなのに、妙な既視感があった。
    「……どうしてこの色を?」
     豊前が迷いなくこの色を選んだのが不思議で尋ねると、どこか遠くを見るような目で豊前が答えた。
    「今朝夢に出てきたんだ。この色のりぼんしてる松井が……」
     すごく綺麗で、どこか悲しそうで、そばにいたいと思った。きっとアレは前世の松井で、俺達はこの世に生まれるもっともっと前から一緒にいたんだってわかった。そう言って、鏡を見る松井を後ろから抱きしめてくる。
    「そう……かもしれないね」
     夢のような話、実際夢の話なのだが、豊前が言うなら本当にそうなんだろうと思えてくるから不思議だった。

     それからというもの、松井は毎日の授業が終わると、豊前から貰った青いリボンを鞄から取り出してネクタイと付け替え、放課後の時間を過ごすようになった。その隣には、ネクタイを外し、シャツのボタンを上からふたつ外した豊前の姿があった。
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