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    ikewa_

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    クリスマスの時のネタを⚔️♀視点で書いてみた。
    🤱プレイの二人の出会いみたいな。
    ここから🐯のいい子と褒められる人生が始まったのであったw

    🐯⚔️♀クリスマスの出会い 大学の友人にクリスマスの二日間バイトしないかと声をかけられたゾロは、特に予定のなかったので、バイト代を聞いて即了承した。
     当日バイト先のコンビニに着くと、ド〇キとかで売ってそうな安っぽいサンタ衣装を渡され、外でケーキとチキンを売ることに。寒さよりナンパの方が面倒だったが、あしらい方は親友から習っているので慣れたものであった。
     初日も二日目も通り過ぎる人達に声をかけ、手際よく売っていき、バイトもあと二時間を切った頃に視線を感じてゾロはそちらに目を向けた。
     一人のリーマンが立ち尽くしている。くたびれた様子で、世間のクリスマス雰囲気など関係なく仕事をしていたのだろう。お疲れ様の意味も込めて、

    「お兄さん!チキンとケーキどう?」

     と声をかけた。
     するとリーマンがふらふらと近づいてきたので、同じように販売していたバイトが「ヤバくない?」と小声で心配する。しかし、ゾロは大丈夫だと感じていた。ヤバい奴はそういう雰囲気をしているものだから。

    「サンタも一緒で」

     目前まで来たリーマンが見つめながら、ここ二日間で聞きまくったセリフを言ってきた。無意識だったのか、自身が口走ったことに慌てだしたリーマンが口を開くより先に、ゾロは質問する。

    「今年はいい子にしていたか?」

     サンタがやって来るのは一年いい子にしていたら、というのを思い出して、リーマンに聞いてみた。すると、即答で「していた!」と返ってきて、更には今年一年どれだけ頑張ったのかも説明してくれる。
     まだ大学生のゾロは社会人とは大変だなぁという感想と、こんなにやつれるほど頑張っているのだからたくさん褒められるべきではないかという思いだった。唐突にゾロの中でこのリーマンをたくさん褒めてあげたいという気持ちが溢れてくる。普段の自分とは違う感情を不思議に思い、リーマンに目を向けた。
     くたびれているが髪や髭を整えて、しっかり食事と睡眠をとって、服装を変えたらきっととんでもないイケメンになるのではないかと気づいた。自分の無意識な面食いぶりに苦笑をしてしまう。

    「そうかそうか、偉いな。なら、チキンとケーキを買って、お家でいい子にしていたらサンタが行くかもな」

     ここでは言葉ぐらいしかかけてやれなくて残念に思いながら、労いの言葉とこの後の訪問を匂わせた。適当なメモに『いい子で待ってるんだぞ』というメッセージと電話番号を書いて、商品の袋に入れると、リーマンに渡す。

    「メリークリスマス!」

     挨拶のようにこの時期限定で口にする言葉でリーマンを見送った。

     ***

     あのリーマンをどんな風に労って褒めてやろうかと考えていたら、あっという間にバイト時間は終わった。着替えて、バイト代をもらったゾロがスマホを確認すると、不在着信が一件入っていた。それに折り返して住所を教えてもらったらゾロはリーマンのマンションへと向う。

    「メリークリスマス!」

     玄関を開けてくれたリーマンに、またあの言葉を口にしてゾロは笑みを向けた。
     それを見たリーマンはぽかんとした表情をしたまま「サンタって本当にいるんだな」と独り言のように言う。

    「サンタはいい子のところに来るんだぞ」

     悪戯っぽく笑って、お前はいい子であると暗に伝えると、男は何かに耐えるような顔をした。これは余程ストレスなどが溜まっているようだと感じたゾロは、とりあえずバイト中外にいたので温まりたいと言って部屋にあげてもらう。
     一人暮らしの男の部屋、というものは散らかっているイメージだったが、そんなことはなかった。というより物が少なくて生活感がない印象だ。まぁ、教えてもらった住所でやってきたマンションが、とても一人暮らしのリーマンという言葉が当てはまらないような大きなマンションだったので、色々と予想に反していることが多そうである。

    「あー、えっと…」

     戸惑いながらも何か会話をしようと男が声をかけてきた。そりゃそうだろう。ついさっきコンビニで出会った、なんなら店員と客でしかなかった二人なのだから。

    「ロロノア・ゾロ。大学生で、つい最近二十歳になった。体を動かすことが好きで、ずっと剣道してる」

     振り返って男を見上げながら自己紹介をした。まずはお互いのことを知ることだろうと思ってだ。

    「トラファルガー・ロー。25歳だ。社会人で、最近は忙しいが予定を決めずに遠出をするのが好きで、学生時代は剣道をしていた」

     自分に合わせて男、ローも同じように自己紹介をしてくれて、経験はないがまるで見合いのようだなと思った。しかし、剣道という単語が出た途端に、ゾロの中で男への親しみがグッと高まったのを感じる。

    「学生って高校?大学?どこの学校なんだ?」
    「こ、高校時代だ。北海高校ってとこだが──」
    「北海高校のトラファルガー・ロー!?三年連続個人優勝、三年連続団体戦表彰台に導いたトラファルガー・ロー!?」
    「え…ま、まぁ、おれだと思うぞ」

     年代が被ることはなかったが高校時代のゾロはその偉業を聞いてから憧れて、目標にしていた。まさかその人物が目の前にいることに驚いた。だって、当時撮影された動画のトラファルガー・ローはモデルかのようなイケメンだったので、今の萎びたようなリーマンと同一人物だなんて誰が思うだろうか。
     詐欺のようなビフォーアフターの男にゾロは幻滅どころか、益々好感度が上がっていった。選手として尊敬はしていたが、高校時代の経歴の噂が完璧すぎて親しみを感じなかったのに、今はバイトにいい子にしていたと言うくらい人間味が増しているのだから、母性できゅぅぅぅんと刺激される。

    「とりあえず剣道の話はまた今度で。今はいい子を褒めなきゃな」

     コートを脱いでからソファーに座っていいかを聞いて、許可を貰えたらソファーに座ると両手を広げた。
     ローが戸惑った表情のままゾロを見下ろしてきている。だから、ニッコリと笑って、

    「おいで」

     何をするのか理解した男は更に戸惑ったような、迷うような表情をした。そんなものを感じる必要はないと伝えるために、ゾロは鞄からバイトで使ったサンタ帽子を取り出すと頭に被っる。

    「こっちに来なきゃ褒められないだろ?サンタはいい子を褒めるのが仕事なんだぞ」

     だから、おいで。
     男がゆっくりと近づいてきたので、焦れったいといわんばかりに腕を引っ張ってやった。すると、ローが倒れ込むように来たので、ゾロはそのまま抱き締め、ボサボサの髪を撫でる。

    「毎日毎日、朝早くから夜遅くまで仕事できるなんて凄いぞ。こんなに疲れるほど働いて偉い。こんなにもいい子だからな、たくさん褒めても足りないぐらいだ」

     思いつくかぎりに褒めていくと、ローが少しずつ縋るように抱き締め返してきた。大人とは大変だとまた思いながら、ゾロはこの大きないい子をもっともっと甘やかそうと思うのだった。
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