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    723

    @fp72nh

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    FE💍フォガパン ディアアル
    🦄オバ アレオシュ

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    フォガパン←赤リュ。最初はリュパン多め。
    紅い雪幻。
    フォガに愛を告げられたけどまだ応えていないパンが事故で千年前の世界に飛ばされて死にかけてた所を赤リュに救われるパンの話。そのうちR18。
    また長くなるかもしれないです‥短めにしようとしたけど無理ぽ(^^)

    #フォガパン
    #リュパン

    紅い雪幻1「ここ‥どこだよ‥」



    ――見渡す限りの雪景色。



    パンドロは周りを見渡して何も見当たらずにただ広がる真っ白な銀世界に思わず呆然と絶望に塗れた声を漏らしていた。
    曇った暗い空には星も見えず、強い風によって斜めに降り注ぐ大粒の雪がパンドロに容赦なく襲い掛かる。
    ソラネルで過ごしている普段着のまま、あまりにも薄着で突然雪の世界に放り出されたパンドロは剥き出しになった腕を擦りながら取り敢えずこの吹雪を凌げる場所がないか探さなければ命に関わると思い、沈み込む足を懸命に動かして雪の中を震えながら歩き出した。

    けれども歩いても歩いても景色が変わることも無く同じ様な景色の広がるその光景にパンドロは危機感を募らせながらもこんな所で死ぬわけにはいかないと懸命に降り積もる雪の中、歩を進めた。
    歩き慣れていない雪道に自然と息が上がり吐き出す息がまるで自分の命の灯火が消え行くのを暗示しているかのように白く空中へと消えていく。
    寒さにガチガチと歯を鳴らしながらも何も変わることもなくただ広がり続ける真っ白な光景にこれはいよいよ駄目かもしれないと懸命に前へと動かしていた足を止めた。
    いや、動かなくなってしまった。

    青くなって感覚の無くなってしまった手を眺めながらパンドロはゆっくりと雪の中膝を折った。
    ここが何処かも分からないのに、なにがどうしてこうなったのかも分からないままこんなところで死ぬのか…

    今まで邪竜との戦いを最前線で戦って来てそれこそ命の危機なんて数える程にあったのに、まさかこんな最期を迎えることになってしまうなんて思ってもみなかった。
    意識が朦朧としてきて雪の中にパンドロは倒れ込む。
    起き上がらなくてはと思うのにもう身体が思うように動かない
    突然寒さも感じなくなり眠くて眠くて仕方がない。
    パンドロはゆっくりと瞳を閉じていく。

    脳裏に浮かぶ笑顔のフォガートに、もう一緒にいる事が出来なくて、守り続けることができなくなってしまう事を申し訳なく思い詫びながら、瞼を持ち上げることすら出来なくなってパンドロの目の前は真っ暗になった。
    遠くなっていく意識の中で雪の中に異形兵の息遣いを聞いた。

    (…異形兵に殺されるのか…最悪だな…)

    せめて、フォガートが心配して探し続けるなんてことにならないように自分が死んだのだと分かるものがフォガートの元に届いて欲しい。
    そんな些細な願いを神に祈りながらパンドロの意識は暗転した。





    何故こんなことになってしまったのか、話は数刻前に遡る。




    今日は料理当番だったパンドロは朝からカフェテラスで未だに慣れない料理に四苦八苦しながらリクエストに応えて様々な料理を作っていた。
    そんなパンドロの様子をニコニコと笑いながらカフェテラスの椅子に腰掛けて訓練終わりのフォガートが熱心に見つめている。
    その優しい瞳になんだかむず痒い気持ちになりながらも仕事中だからと気にしないふりをしていると

    「こちらに神竜様はいらっしゃって…おりませんわねぇ」

    意気揚々とカフェテラスに顔を出したセレスティアがテーブル席を見渡して探し人であるリュールがいない事に溜め息を溢していたのでそんな様子に困っている人が放っておけない性分のパンドロは思わず彼女に声をかけた。

    「神竜様ならもう少ししたらこちらにいらっしゃると思いますよ、朝はゆっくりとされていることが多いので…」

    パンドロがそう彼女に声をかけるとセレスティアは笑顔を向けて空いている椅子を見つけるとそちらの方へと足を踏み出した。

    「それならここで待たせてもらいます…っあぁ!!」

    そうして狭い他の人が腰掛けている椅子の間を通ろうとしたセレスティアが椅子の足に綺麗に躓いて前に吹っ飛んでくるのを見たパンドロは、そういえばなんだか知らないけど、セピアと違ってとてもドジっ子属性なの…と戸惑っていたヴェイルの言葉を思い出しながら彼女が転ばないように咄嗟にその体を受け止めた。
    パンドロにしがみついた彼女の手から光り輝く何かがその勢いで更に遠くへと弧を描きながら飛んだのを見て、セレスティアが顔を真っ青にして手を伸ばした。
    ここに来た時から大切そうに手のひらに包んでいたそれを、きっとリュールに渡すか見せるかしたくてここへ来たというのは想像に容易い。
    その大切なものが壊れてしまってはあまりにも悲しいだろうと思ってしまったパンドロはそれを手に取ろうと運動が苦手な自分では考えられないほどの反射神経で飛び込むように手を伸ばした。
    落ちてくるその石のようなものに手が届きそうだと安堵したその時

    「それに触れては駄目…!!」

    セレスティアの焦った様な声にパンドロがえ??と思ったその時、手のひらに収まった光り輝く石が眩い程の光を放った。
    そのあまりの眩しさに食事をしていた仲間達も何事かと立ち上がり、光の向こうで険しい顔をしたフォガートが走り寄って来ながらパンドロに向かって手を伸ばしている姿が目に入ったが、目が潰れそうな程の眩しさにそれ以上目を開けていることも出来ずにパンドロはその手の中の石を握りしめたままきつく瞳を閉じた。

    そうして閉じた瞼の裏にかなり長い間、目を閉じていても分かるくらいの光が続き、その光が収まってきた事を感じた時には唐突に身震いする程の寒さが身体を襲っていた。
    そうして目を開けた時には一面の銀世界であまりの展開にパンドロは混乱しながら突然の命の危機に晒されてしまったのだ。

    あの時の険しい顔で必死にこちらに手を伸ばしていたフォガートの事を思う。
    こんなことになるのなら、フォガートに気持ちを伝えておけばよかった…と。

    数日前に、パンドロはフォガートに愛の告白をされていた。
    見た事がないほどに真剣な眼差しで、宴の賑やかな声を遠くに聞きながら瞬く星の下の綺麗な川辺へと誘われて。
    そこで指輪を渡されながら愛してるのだと告げられた。
    その突然の告白に緊張したような面持ちのフォガートの顔と、差し出された指輪とを交互に見ながらパンドロは自分なんかが一国の王子であるフォガートの告白を受けていいものかどうか悩んでしまった。
    パンドロもフォガートを愛していた、だから告げられた言葉は何よりも嬉しい事ではあった。
    だけども、子を成すことも出来なければつり合う身分でもない己がその愛を受け取っていいのかと戸惑っていると、強引に指輪を手渡される。

    「悩ませてごめんね、だけど俺の愛は本物だよ。だけど今は戦いの最中だからゆっくり考えてくれて構わないって思ってる。でも俺を失いたくない、一生傍にいたいと思ってくれるのなら…その指輪を着けて見せてほしい。それまで君に預けるから」

    無理強いはしないけれど情熱的で優しい、そんな人の気持ちを思い遣ってくれるフォガートが好きだ。
    パンドロの戸惑いも察して時間を与えてくれるその優しさにオレもフォガートを愛しているのだと、どうして告げなかったのか
    フォガートの可愛い笑顔を想いながら、こんな風に離れてしまう事になるなんていくら後悔しても足りない。




    そんな夢を見て、パンドロは後悔に流れた涙を溢しながら薄らと重い瞼を開いた。

    目の前には古ぼけた木の天井が見えていて、パチパチと木を燃やしている音が響いている。
    何処か小屋の様な所にいる様で外からは更にひどい吹雪になったのか強い風の音に合わせてパンドロが居るであろう建物が小さく揺れていた。
    火はくべられているみたいだが古ぼけた天井が物語るように古い建物なのだろう、隙間風が入り込みその肌寒さに掛けられていた薄い毛布を引き寄せながら隣の温もりに擦り寄った。

    (ーーー隣…、となり!!?)

    急激に微睡んでいた意識が一気に浮上する。
    パンドロが擦り寄った隣の温もりは人肌だった。

    慌てて身体を起こしてそちらへを向くと真っ赤な両目がパンドロを射抜いていて、その相手の姿にパンドロは驚愕の余り言葉を失った。

    パンドロの隣に横になったままこちらをジッと見つめていたのは両の瞳も髪も真っ赤に染まって表情から何も感じることが出来ない程に無表情な神竜であるリュール、その人だった。
    少し前に邪竜紋を破壊する為に千年前の世界に行った時に見た邪竜の頃のリュールそのもので、パンドロは思わず息を飲む。

    「……めざめましたか」

    そのリュールの上半身が何も纏っていない裸の状態で、混乱したパンドロもその時に自分は上半身だけでは無く下半身にすら何も纏っていない素っ裸の状態である事に気付いて顔を真っ赤にしながら毛布を手繰り寄せてその身体を思わず隠した。

    (し、神竜様の前でなんでこんなはしたない格好を…⁉︎)

    口をパクパクさせながらどういう状態なのか周りを見渡すと、そこは山小屋の中の様だった。
    パンドロが着ていた服がびしょ濡れの状態で火を焚いた暖炉の傍に干してあり、段々と状況が理解出来てきた気がした。

    「あなたは、このふぶきのやまでしにかけていた。ききたいことがあるのでたすけました」

    リュールが起き上がりながら感情の篭っていない口調で口を開いた。
    呼吸を感じるほどのすぐ隣で真っ直ぐに崇拝している神竜であるリュールのその赤い瞳に射抜かれてその畏れ多さにパンドロは思わず身体をビクっと震わせてしまう。
    その様子にリュールは首を小さく傾げて

    「まださむいですか?」

    そう言うとパンドロの身体を抱き寄せてそのまま再び眠っていた寝台へと身体を一緒に倒されてしまう。
    毛布で2人纏めて包まると裸の身体をピッタリとくっつけられてパンドロはその身体を押し離そうとするが力が強く離れる気配もない。

    「しんでもらってはこまるので、すぐにあたためるにははだをあわせるのがいいとおもいました」

    その言葉にパンドロは、寒さで死にかけていた自分を人肌で温めて救ってくれたのだと分かり身体を押し離そうとしていた抵抗を止めて無表情にこちらを見つめたままの赤い瞳を見つめ返した。

    ここが何処なのかもまだわからない、この邪竜の時の姿をしたリュールがなんなのかもまだわからない。
    それでもこの方のおかげでパンドロの命が救われた。
    また千年前の世界に来てしまったとして、邪竜として生きているリュールがその時から優しい方なのかもしれないという事が分かり、何よりも愛するフォガートの元に帰るための希望が出来た事にパンドロは安堵して思わず抱き寄せてくれている目の前のリュールに縋り付いた。


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