こっち向いて、チェリー。❖ ❖ ❖ ❖ ❖
ソファの上には小さな生き物が我が物顔で鎮座していた。
「……は?」
思わず漏れた声に、キッチンにいたパストが気付いてパタパタとこちらへ歩み寄ってくる。
「おかえり、ルカ。今日は早かったんだな」
「あ、ああ、思っていたよりも依頼が早く済んでね…いや、そうでなくて…これ…」
これ、と指を指した先にいるのは、私達に良く似た顔のぬいぐるみのような生き物。
片方はパストと同じアルビノに黒のインバネスコートを着ており、もう片方は左目に痣があり囚人服のようなものを着ている。
何よりも目を引かれるのは頭頂部と尻だ。丸い頭のてっぺんには折れた丸い耳と尖った三角形の耳、尻にはふさふさとした尻尾が生えている。所謂「猫の姿」の二匹(呼称が正しいかはさておき)は、ソファの上で仲良く毛繕いをしているのだ。
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