bitter chocolate武道はいつも通り出迎えた。
リビングから玄関まではそう遠くはないが、子供の足で行くのであれば十秒はかかるだろう。
床を踏みしめる音に耳を傾けながら来るのを待ち伏せていた蘭は、現れた武道に手を広げた。それに抱き着いた武道をギュッと抱き締めた。
「蘭くんおかえり」
「ただいま」
武道も三日振りの蘭に嬉しく、抱き締め返し笑顔を零す。
ふと視界に見慣れない物が映り込んだ。武道の肩に回された手には、縦長の形状で黒地に光の加減で模様が浮き上がる梱包がされた物が収まっていた。
首を傾げてこれは何かと聞くと。
「チョコレート」
艶やかに笑った蘭は武道を抱き抱えてリビングへと向かった。
リビングに行き着くとソファの上に座らせ、その隣に座ると蘭に収まるその箱を武道はしげしげと見た。
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