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    girion69

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    2/11イベントにて無配させていただいたものです。

    #蘭武
    lanwu

    bitter chocolate武道はいつも通り出迎えた。
    リビングから玄関まではそう遠くはないが、子供の足で行くのであれば十秒はかかるだろう。
    床を踏みしめる音に耳を傾けながら来るのを待ち伏せていた蘭は、現れた武道に手を広げた。それに抱き着いた武道をギュッと抱き締めた。
    「蘭くんおかえり」
    「ただいま」
    武道も三日振りの蘭に嬉しく、抱き締め返し笑顔を零す。
    ふと視界に見慣れない物が映り込んだ。武道の肩に回された手には、縦長の形状で黒地に光の加減で模様が浮き上がる梱包がされた物が収まっていた。
    首を傾げてこれは何かと聞くと。
    「チョコレート」
    艶やかに笑った蘭は武道を抱き抱えてリビングへと向かった。
    リビングに行き着くとソファの上に座らせ、その隣に座ると蘭に収まるその箱を武道はしげしげと見た。
    いつも好んで食べてるキ〇トカ〇トやポ〇〇ーとは格段に別物な箱。雰囲気がある箱に興味津々な武道に蘭は箱を渡す。
    端から見えていた箱であったが、実際梱包は全体的にとてもシックで光沢のある黒に、赤いシルクリボンがよく映え丁寧に結ばれている。
    「開けていい?」
    「勿論」
    やんわりと微笑んで返答した蘭。
    恐る恐るリボンをゆっくり引っ張り、梱包された紙を解いていく。箱も慎重に開けると中にはシンプルだが上品と思わせられる洗練されたチョコが五つ並んでいた。
    武道は密かにめちゃくちゃ高いチョコレートだ、と思った。
    元々竜胆と違いどちらかというブルジョワ寄りの蘭。それを口に出して言った暁には今まで食べていた一般的なチョコ達が食べれなくなるため黙る武道だった。因みに竜胆はド〇キで増量タイプをこれでもかと買ってくる。
    一粒チョコを取った蘭は、あーんと言って口を開くように告げる。
    先程夕食を食べ終わった後であるが、お菓子となれば別腹。チョコレートは嫌いではなく、むしろ好きなので素直に口を開けると口の中にチョコが落とされる。
    同時に口を閉じてチョコを噛み砕いた瞬間、じわっと何やら苦い物が口腔内から鼻まで一気に広がる。あまりにもなれない香りと舌を刺激する感覚に吐き出しそうになった武道は、舌を出す寸前に蘭によって手で塞がれた。
    「食べれねぇの?」
    いつしか見た冷徹な蘭が目の前に居た。武道はこの蘭が怖い。だから何も為す術なく、未だに広がる味と格闘しながら時間を掛け咀嚼し飲み込んだ。
    飲み込み終わるといい子と撫でられる。しかし蘇る恐怖に少し体が震える。
    するといきなり視界にぼやが掛かる。一瞬泣いてしまったのかと思い、目を擦るも涙は着くが泣いてはいない。頬も濡れていないので確かだろう。
    そして徐々に内側から湧き上がって来るように全身に熱が回り出した。
    情事とは違う意味不明な感覚に武道は戸惑い、蘭を見るもその手にはもう一粒のチョコレートを持っていた。拒否るように首を振るも顎に手を添えられて無理矢理口を開けさせまた放り込む。
    舌を使ってチョコを出そうとするが、またもや手に阻まれ、チョコレートは出すことは許されず、
    渦巻く熱にぼんやりと拙く咀嚼をして飲み込む。飲んだ事を確認取れると手を離した瞬間、でろと溢れた唾液が蘭の掌の銀船がつたる。
    「美味しい?」
    朦朧している頭で訳の分からない儘ゆっくりと頷いた。蘭は満足そうに弓形に曲げてうっそり笑い、武道をソファに沈めたのだった。
    このあと次の日のお昼まで抱き潰されることとなりましたとさ、おしまい。
    後日、事後を見た竜胆がドン引きしたとの事。

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