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    Si__Vales_Valeo

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    Si__Vales_Valeo

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    ポカぐだ♀ です。ふたりがただイチャコラしてるの書きたいなぁと思っていたところ、日曜の朝が寒かったので思いついて、起き抜けに書いたお話です。(そして二度寝してしまったという…)
    まだしばらく寒い日が続くみたいですので、朝、お布団の中でぬくぬくしながら読んでいただけたらなと思っております。

    ……年齢制限しなくても大丈夫かな。直接的な表現ないし……?。

    ポカぐだ♀ / ほのぼのイチャイチャジリジリジリ……

    遠くから不快な音が聞こえる。引っ張られるように、ふわりふわりと、意識が浮上していった。
    その音は頭上でけたたましく鳴り響く、ヘッドボードに置いた時計の起床せよと命じるアラームだった。


    ……うるっさいなぁ。まだもうちょっと、寝てたいのに。



    まどろみの中、小さく唸って寝返りを打つ。首元から冷気が入り込み、ぶるりとからだが震えた。普段、部屋は空調が効いていて適温なのだが、寝る時はそれを切っているため朝方には外気温に近いほど温度が下がるためだ。からだを包む布団のありがたみを痛感する。



    あったかい。ぬくぬく。お布団最高。



    あたたかさに包まれ再び意識が沈みそうになるがアラームがそれを妨げる。
    わたしはしょうがないと眉を寄せ、布団の中から片腕だけをにゅっと突き出した。途端、ひんやりした空気が肌を刺す。長袖のパジャマを着ればマシなのだろうが、布地が多いとどうにも落ち着かず半袖のTシャツ・短パンで寝ているせいだ。

    からだを起こせばいいのはわかっているが、まだ布団の中から出たくなくて横着してパシパシとヘッドボードを叩きながらを時計を探る。
    携帯端末、シュシュ、ティッシュボックス。目当てのもがなかなか見つからずどんどん腕が冷たくなってくる。



    さむ……ええぇ?どこにあるのお……。



    さまよう爪先にカツンと無機質なかたまりが当たった。



    見つけた!



    ようやく時計を捉えボタンを叩いた。必要以上に強く叩いてしまい四角い箱は跳ねてしまったけれど、気にしている余裕はなかった。腕を布団の中に引っ張り込む。ほっと息を吐いた。
    ミッションを達成し冷え冷えした腕をふかふかの布団が迎え入れる。ゆっくりと冷えを取り除いてゆくぬくもりが気持ち良い。

    すっかりリラックスして脱力したからだが急に何かに引っ張られた。仰向けに寝転がっていたからだが横に引っ張られ、冷えた腕に熱く弾力のあるものが当たった。腰にも同じほど熱いものが巻き付き、ぎゅうっとからだが熱に包まれる。
    起き抜けで鈍い頭が何事だと考える前に耳が低い声を拾った。



    「うおぉ。冷た……」



    呻るような声にわたしは顎を上げた。その先にあったのは、金の長い髪を乱し目を細めるテスカトリポカだった。



    あ、れ?なんで……?



    ぱちぱちと何度か瞬くがやはり彼は目の前に存在している。そもそもからだを覆うものは露出した彼の上半身だ。
    あたたかいからだに馴染む熱と驚きで徐々に頭が覚醒してきた。



    そうだ。最近、一緒に寝るようになったんだった。



    きっかけは確か些細なことだった。夜遅くまで一緒にホラー映画を見てその後ひとりになるのがイヤで、一緒にいて欲しいとお願いしたとか、そんなところだ。その夜だけを想定してのお願いだったが、彼は次の日もその次の日も、就寝時間になるとベッドへ乗り上げ、さも共に寝ることが当たり前のように「ホラ寝るぞ」と誘ってくるようになったのだった。

    存在自体がエロエロしい彼なので、からだを暴かれ彼の好きなように弄ばれてしまうのではと当初は緊張したものだが、彼はわたしの睡眠を第一に考えてくれており、ただ抱きしめ背中をトントンとゆっくり叩き眠りへと誘ってくれるものだから、すっかり共寝がクセになってしまった。人肌に包まれて眠る安心感と心良さとを、すっかりからだが覚えてしまったのである。



    まだ慣れなくて、朝ぼんやりしてる中で彼の顔をどアップで見ると、いつも驚いてしまうのだけれど。



    じいっとテスカトリポカの顔を見つめる。あまり朝は強くないようで、彼はまだまどろみの中にいるようだ。



    目がしょぼしょぼしてる姿も、かっこよく見えちゃうんだなぁ。



    彼は自分の胸元にわたしの腕をくっつけ、片手でわたしの手を捕まえ指を絡ませてくる。魔力で編まれたエーテル体は本来ひんやりしているが、寝ている間にわたしの体温が移るらしく、今はほかほかとあたたかい。その熱を戻そうとしてくれているのだろう。まだ思考がぼんやりとしている中でも、わたしの冷えた腕をあたためようとしてくれているようだ。じわりじわりと腕が指先があたたかくなってくる。同時に胸の奥もほっこりあたたかくなってきた。



    「……まだ起きねぇの?」



    掠れた舌っ足らずな低い声。この無防備な姿は朝の起き抜けにしか見られない、レアものだ。いつもの怖さなんてどこかへいってしまっていて、むしろちょっとかわいい。
    知っているのはわたしだけで、一緒に一晩過ごすことを許されている今だからこそ見ることができる姿だ。思わず頬が緩む。
    彼に比べてわたしはすっかり目が覚めていたが、こうやってこのひとと過ごすまったりとしたあたたかい時間を終わらせたくないと思ってしまった。



    「うーん……腕、冷えちゃったから。あたたまるまで、ちょっとだけ」



    今日の予定を頭に思い描く。しばらくこのままでいても、シャワーと着替えを急いで済ませ、食堂まで走ればいつものスケジュールに追いつけるだろう。算段がついてわたしはくるりとからだの向きを変えた。テスカトリポカへと向き直り、真正面から彼に抱きついた。背中に手を回し、彼の胸に頬をぺたりとつける。弾力があって、あたたかい。男のひとの胸だ。ちょっとどきどきしてくる。

    視線だけを上へと向けた。目を眇めぽかんと口を開けたテスカトリポカと目が合った。まだ寝ぼけているみたいだ。いつもの黒曜石みたいな鋭さとは打って変わった姿に思わず小さく笑ってしまう。
    ぼうっとした彼の顔を見ているうちに、むくむくといたずらをしかけたい欲が湧いてきてしまった。

    わたしはなるべくかわいくあざとく見えるようににっこり笑って、口づけをねだるように言った。



    「あなたのからだで。あたためてくれる?」



    テスカトリポカはぱちぱちと瞬いた後、急にぎらりと鋭い視線を向けてきた。大きな手がわたしの腰を撫でる。彼の手つきは官能を呼び起こすもので、朝だというのにぞわりと甘い疼きが背中を走った。やばい。覚醒させるどころかスイッチを入れてしまったらしい。
    焦るわたしの内情など知らず、彼は舌で肌を嬲るような甘い声で言った。



    「すぐに暖まる方法があるが。試してみるか?」



    彼の瞳には熱が宿っていて。その目を見つめているだけでからだに火が灯りそうだ。それもいいかもと誘惑されるまま頷きそうになるが、この陽だまりのようなあたたかさも貴重なのだと考え直す。
    わたしの天秤はゆらゆらと揺れ、最終的に穏やかなあたたかさに傾いた。



    「んー……このまま、ぎゅっとしてたい。かな」



    テスカトリポカの胸に顔を埋め、腕に力を込めた。



    「……あ、そ」



    わたしの答えに彼は気の抜けた声を返した。わたしの背中に大きな手を当て抱き返してくれる。いやらしさのない、子をあやすような手つきだ。妖しい雰囲気はすっかりどこかへいってしまって、彼はあふりと小さくあくびをこぼした。

    触れる表面積が増えて、大きなからだに包まれて。冷えた箇所が徐々にあたたかくなってゆく。心までもあたたかく満たされてゆくようだ。
    ふたり熱を分け合って、溶け合ってしまうそう。

    うっとりと目を閉じる。息を深く吸い込めば微かに感じる煙草のすこし甘いにおい。視界が闇に覆われても誰と抱き合っているのだとわかってしまう、彼のにおいだ。すっかり彼のにおいが鼻に馴染んでいる自分に、思わずふふっと声が漏れた。



    「……このままひとつになれたらいいのに」



    誰に聞かせるわけでもなく小さく呟いた。
    しかし神様故なのか、彼の耳はわたしの呟きをしっかり拾ったようで。笑いを含んだ声でわたしの耳元で囁いた。



    「ひとつにはなれないが、ふたり繋がることはできるぞ?」

    「んもう。そういうのいいから!」



    思わず吹き出してしまってわたしのお断りの返答も笑い混じりになってしまった。彼もやっぱり冗談だったみたいで、くつくつと喉を震わせて笑っている。
    低い声とその振動が心地良い。厚いからだの安心感とあたたかな多幸感に包まれて、再び瞼が重くなってきた。



    もうすこしだけ、このままで。



    睡眠欲に負けたわたしの意識はまどろみに揺蕩い、そしてゆっくりと沈んでいったのだった。









    まどろみの中、選択しなかったもうひとつの未来のゆくえをぼんやり描く。
    えっちで魅惑の提案は、やっぱりちょっと、選びたかったなぁと残念に思ってしまうものだった。いやいやこのぬくもりも最高だしと、幸福感を噛みしめ思い直す。
    天秤を再び揺らし、あっちがいいこっちがいいと、行ったり来たり。それを繰り返す。



    「すぐあったまっても、時間足りないよねぇ。もっとシたくてもやめないといけないのイヤだもん……ふわぁ」

    「………………ほーお」



    ウトウトと夢と現実の間をさまよっていたわたしは気付いていなかったのだ。すべて声に出ていたということに。
    眠くて呂律が回っていない言葉であったにもかかわらずしっかりと聞き取っていたテスカトリポカにより、その夜理由もわからないまま「もう無理ー!」と泣くまで何度も何度も甘い責め苦を味わうことになってしまったのだった。




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    DONEポカぐだ♀ です。ふたりがただイチャコラしてるの書きたいなぁと思っていたところ、日曜の朝が寒かったので思いついて、起き抜けに書いたお話です。(そして二度寝してしまったという…)
    まだしばらく寒い日が続くみたいですので、朝、お布団の中でぬくぬくしながら読んでいただけたらなと思っております。

    ……年齢制限しなくても大丈夫かな。直接的な表現ないし……?。
    ポカぐだ♀ / ほのぼのイチャイチャジリジリジリ……

    遠くから不快な音が聞こえる。引っ張られるように、ふわりふわりと、意識が浮上していった。
    その音は頭上でけたたましく鳴り響く、ヘッドボードに置いた時計の起床せよと命じるアラームだった。


    ……うるっさいなぁ。まだもうちょっと、寝てたいのに。



    まどろみの中、小さく唸って寝返りを打つ。首元から冷気が入り込み、ぶるりとからだが震えた。普段、部屋は空調が効いていて適温なのだが、寝る時はそれを切っているため朝方には外気温に近いほど温度が下がるためだ。からだを包む布団のありがたみを痛感する。



    あったかい。ぬくぬく。お布団最高。



    あたたかさに包まれ再び意識が沈みそうになるがアラームがそれを妨げる。
    わたしはしょうがないと眉を寄せ、布団の中から片腕だけをにゅっと突き出した。途端、ひんやりした空気が肌を刺す。長袖のパジャマを着ればマシなのだろうが、布地が多いとどうにも落ち着かず半袖のTシャツ・短パンで寝ているせいだ。
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