ハネムーンサラダ 学内のカフェでコーヒーを飲んでいたら、二人組の女の人に声をかけられた。
「お一人なら、一緒にコーヒー飲みませんか」
顔は真っ赤で、声は震えている。もしかしたら、凄く勇気を出してくれたのかもしれない。そう思うと僕は微笑んで、なるべくやさしく答えを返した。
「連れを待っているので、すみません」
女の人は少しだけ泣きそうな顔をして、すぐ笑顔を作った。きれいな人だな、と思った。もう一人の女の人は、不機嫌な顔を隠さずに僕を睨んでくる。優しい人だな、と思った。
「ごめんなさい。変なことを言ってしまって」
「いいえ、構いませんよ」
「暁人」
ちょうどそこに、KKが来た。不機嫌そうにしていた女の人が口を開く。
「二人と二人でちょうどいいじゃないですか。お話しましょうよ」
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