無自覚から始まるやまみつ(始まる前) 目覚ましの鳴らない朝。カーテンを開けて差し込む光は既に朝日ではなくなっている。部屋着のスウェットのまま、眼鏡を手に取ってリビングへ向かった。
掃除機をかけていたミツが、部屋に入ってきた俺に気づいて動きを止めた。
「おはよーさん」
「もう早くねぇよ!」
ミツは掃除機のスイッチを入れ直して、おっさんオフの日だと絶対朝起きないよな、とかき消されないように大声で叫んでいる。だってオフの日だ。毎日毎日頑張って仕事して生きてるのに、休みの日に休まなくてどうする。なんて、同じくオフの日だが俺とは打って変わって朝から家事全般をこなしているミツに豪語するには若干気が引ける。
「真面目なもんだねぇ……」
「手伝ってくれてもいいんだけど?」
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