力を使い果たし雛ピーちゃんになった話
弱ったな…
だいぶ体力を消耗してしまった
いつもならピーちゃんの姿に戻るのだが小鳥よりさらに小さい雛になってしまった
日中学業に励んでいる間、響たちプリキュアの代わりにノイズが街の平和を守っていた
今日だけでも複数の敵との戦闘により普段以上に疲労が蓄積してしまったらしい
「ぴぃ…ぴぃ…」
鳴き声は愛らしい雛鳥の声
遠くから見れば巣から落ちて困って鳴いているように可愛らしく見えるであろう
ここは人通りから離れているとはいえ他のやつに見つかってはまずい
だが中身はノイズのままであるが、翼も未発達の状態では空を飛ぶことすら出来ない
ヨタヨタ弱々しい足を必死に歩かせて響の家までひたすら目指す
そして更に困ったことに雛の状態であるせいか、響のことが無性に恋しい気持ちが抑えられなくなる
ノイズも長く生きてる中、自然界で見かける野生動物の親子の姿をたくさん見てきたし、羨ましがったことくらいあった
今のノイズはピーちゃんであり、赤ちゃんでもある
どちらもノイズでありピーちゃんではない、曖昧な精神状態の中、やっとの思いで雛ピーちゃんは響の家まで辿り着く
(ああ…早く響に会いたい…)
「ぴぴぃ…ぴぴぃ…」
突然に襲う寂しさと溢れんばかりの涙
玄関前に来て雛ピーちゃんは恋しさのあまりその場で泣き出してしまう
(私は一体どうしてしまったのだろう)
プリキュアと戦ってた頃の私はどこに行ってしまったんだ?
あれだけ強く邪悪だった私が今では見る影もない
雛鳥が母鳥を求めるようにぴぃぴぃ泣いてる場合ではないのに
(響…早く帰って来てくれ…私を一人にしないでくれ…)
いつもなら響たちの学校まで飛んでいけるのにどうして
「あれ、ピーちゃんどうしたの?」
響の声に即座に振り返り雛ピーちゃんは涙を流しながら彼女の胸に飛びつく
「ぴぃぴぃ…!!」
「ピーちゃんなんかいつもより小さくない?」
(響っ!聴いてくれ!!)
響に今日の出来事を伝えるべく小さい翼をひたすらバタバタさせた
「何だかよく分からないけど、こんなに小さくなるまで頑張ってくれたんだね、ピーちゃんありがとう!!」
優しく響に抱き締められる
(そうか…)
通常のピーちゃんサイズよりも一回り小さくなって分かったが、大きな存在に優しく抱き締められる感覚はこんなにも安心するものだったのだな
「ママァ…ぴぃ////」
「えへへ///今日だけピーちゃんのママになってあげるよ」
「ぴぃ…スヤスヤ」
「安心して寝ちゃった、まぁ本当にありがとう」
それから悲しみが集まり元のサイズに戻ることができた
暫く人間態の姿ばかりになっていたせいで、忘れてしまうほど大昔に自身の中で生まれた幼い自分を呼び起こしたのだろう
だが、私には響がいる
彼女がいれば幼い私の心も満たされる
そして、今日も彼女たちの為にノイズは戦うのであった