#2俺が彼と初めて話をしたのは、小学生の夏休みだった。
俺の名前はソウジュ、幽霊になった友人、もとい俺の恋人の名前はサラ。
「サラ、なんて女の子みたいじゃない?」
初めて名前を聞いた時、サラは尖った口でそんなようなことを言っていた。
◆
「俺と合わせたら『娑羅双樹』じゃないか!」
「なにそれ」
「音読の宿題してないの?」
「してない」
サラと俺は同じ小学校に通っていて、同じ学年。クラスは違うから話をするのは今日が初めてだ。もしかしたら平家物語の音読は俺のクラスだけしかやっていないのかもしれない。
夏休みに入ってからずっと、俺はだだっ広い公園で毎日遊具や砂場で目一杯遊んでいた。毎日一人で。緑も豊かでいい場所なのだが、いかんせんちょっとばかり僻地にあるからかほとんど人が来ない。
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